カニ: ひふ……ひふ……あれ、誰だ!?相手がいるぞ!??? キャスター: 皆さん、おはようございます!本日は暗い海の底から、最新のお天気情報をお届けします! カニ: えっ、お天気お姉さん!?どうしてこんな場所に…?何か策だな! キャスター: さあさあ、今日の天気は……どうなるでしょうねぇ。……あらら、どうやら大変なことになりましたね。 カニ: え、え?どういうことだ!? キャスター: 今、突然の大雨が降る予報が出ました。皆さん、急いでなんとか、避難してください! カニ: おいおい、逃がさんぞ!逃げるぞ!カニ歩きで、がっちり甲羅で守りを固めてやる! キャスター: ……さあ、そんなに急いでどうするのでしょうか?どううごくつもりでしょうか? カニ: ぐぐっ……な、何だこれは!?足がすくんで歩けないぞ! キャスター: そうですね。この海では、生物たちを苦しめる、水圧というものがあります。これがなければ、あなたのような強いカニでも余裕で歩けるでしょうに。 カニ: ぐ……邪魔するな!――うわあああっ!(カニが大雨で流れ去る音がする) キャスター: ああ、おいていかないでください!皆さん、傘を持っていれば、取り敢えず逃げ続けることはできますよ! カニ: ずるか!裏技使うつもりか!……しかし何だろう、この足から感じる不思議な感覚……? キャスター: ほう、それは何でしょうか?神様のお告げでも届いたのでしょうか? カニ: きのう、遭遇した敵……その能力が、パッと脳裏によぎったのだ!そうだ、誰かの攻撃で自分が傷つく前に、自分で体を切り離せば、受けるダメージを最小限にできる!……よし、本気のカニ歩きだ! キャスター: おいおい、それは危険ですぞ!地球温暖化現象で放射能が漂い、海の生態系が崩壊した今、そんなひどい行為を許してしまって良いのでしょうか! カニ: やめや!勝手なこといってないで、今すぐ真実の天気を教えてやれよ! キャスター: ……けど、あなたは……(小さく息を飲む)あ、あの……今日は……天気が……(カニがハサミでキャスターに向かって切り返す)わわわっ!?! カニ: ずるいぞ!包囲されたぞ!こいつはもう……最終手段だ!(カニがハサミで自らを切りながら相手に突進) キャスター: はあ!?な、なんて非情な! カニ: ぐぐうううっ!(カニがハサミで相手に攻撃) キャスター: あ、あっ! カニ: わ、わははは!勝ったぞ!勝ったぞうええええっ!(カニがハサミで自らを切り離して逃走する) キャスター: うう……(倒れ伏す) カニ: うおおおっ!俺だ!俺は最強のカニだ!もう誰にも負けないぞおおおおっ!(海底に響き渡るカニの怒号の音が最後まで続く)