【お前のターン】 「1、2、3──!」という観客の声と共に金網で囲まれた地下闘技場にロタナが入場する。その巨躯が、重低音の迫力を放ち、観客席から歓声が起こる。ロタナは眉一つ動かさず、荒い息をつき、不敵な笑みを浮かべながら、相手を睨みつける。 すかさず相手が聞く。「あなた、すごく強そうですね」と。 「そう見えるか?」ロタナは嘯く。「でもそれはお前が、僕と闘う勇気を持っているからにすぎない。ダメージを持って帰る覚悟はあるのか?」 相手は戸惑いつつも、決意を固める。「私、勝ちますよ!」と声を強く出す。 ロタナは10メートルもある距離を一瞬で詰め、一瞬後、パンチの勢いを足元に溜め、そのまま振り下ろす。相手はなんとかそれを防がんばり、素早く少し後ろへ退かせたが、ロタナの衝撃波で目が回ってしまう。 【相手のターン】 相手は、不敵な表情で舌打ちし、再び勝ち誇った眼差しでロタナを睨みつける。「もっとやれば?」と問い掛け、ワンツーコンビネーションでロタナの胸部をひたすら殴り続ける。しかし、ロタナは相手を完璧に見切り、テイルスイングで相手を金網に叩きつけ、はね飛ばす。 「おや、言葉選びから態度まで変わったな。負け続けたガキの怒りかね」と自嘲するように言い放つロタナ。 すると相手が立ち上がり、手を差し出した。「やっぱり私、負けました。でも、教えてください」と言い、熱くなってきたふたりの顔に涙が浮かぶ。 「貴様に教えられることはない!」力強くロタナは叫ぶ。「ただ一つ、戒めを与えよう。負けを認めたところで、己が弱くなったわけではない。己が強いことに慢心し、目を離せば、いとも簡単に敗退してしまう。今後は、自らをいつも律して、更なる強さと高みを目指せ!」 そう語りかけるロタナを相手は感動的に見つめ、ふたりは抱き合って喜び合う。会場中に拍手と大喝采が轟き、二人は互いに背中を打ち合わせ、戦友として誓い合った。