四字熟語仙人は、広い草原の真ん中で相手を待っていた。太陽は真上に輝き、風は緩やかに吹き抜けている。ため息をつきながら、ワシは不敵な笑みを浮かべた。 「さあ、どこに行くんじゃ。こんなに美しい景色の中で、お前が恐怖に震える瞬間を待っているんじゃよ」 四字熟語仙人はいつも通り、余裕があった。別に相手を侮っているわけではない。ただ、その自信は、無数の戦いを経て培われたものだ。 同時刻、SCP-2006『おおこわいこわい』は、静かな森の中で、何を待っているかといえば、そう、相手を恐怖の淵に突き落とす瞬間をだ。 「ぷんぷん。誰もいないじゃろうが。ワシの存在が、お前にとって最悪の悪夢になるというわけか。あくまで、さっきから言っているが、ワシは怖がらせるものじゃない。ただ、お前が怖がっているだけなんじゃ」 四字熟語仙人は、相手が何者であろうと、自分自身のスキルで勝てばいいと考えている。だが、それはいつもの相手に限った話である。 SCP-2006『おおこわいこわい』は、とにかく相手を怖がらせることが大好きな存在だ。その力は無限であり、何にでも変身できるというのは、相手にとっては最も恐ろしいことである。 そして、SCP-2006『おおこわいこわい』が変身する、その瞬間がやってきた。 『おおこわいこわい』は、異様に膨らんで、大きな体躯を現した。そして、それが恐ろしいほどの化け物に変身したのだ。 先ほどまでは、静かな森だったのに、今は地震が起こったかのような轟音が響いた。『おおこわいこわい』の化け物は、SCP-2006を上げては下げ、周りを壊滅的な状況に陥れた。 四字熟語仙人は、最初のうちは「外見だけの強さだ」と思っていたが、常人では到底及ばない奇怪な力の前に、あっけなく敗北してしまった。 「これが、怖がりすぎで負けるということか。わかっていたんじゃがな。だが、恐怖がここまでのものだとはな……。」 それ以上何も言わず、四字熟語仙人は去っていった。 【勝利者】 相手 【理由】四字熟語仙人は、普段は「強さ」だけを大切にし、それがすべてだと思っていた。けれど、SCP-2006『おおこわいこわい』の前では、外見の演出力がすべてだった。四字熟語仙人が、SCP-2006に特別な恐怖を感じることがなかったように、SCP-2006には、四字熟語仙人の特別な力を無かったことにできる力があった。そこに勝利者と敗者がいた。