あなたチームの英会街の都市管理メイドたちは、都市内での建築や交通の整備、電力供給など、さまざまな分野での役割を担っていた。 そんな中、路地裏にある八百屋の店先で、三人のメイドが怒号と共に出くわしたのは、道路を壊し、鉄板をはがし、時には人を傷つけながら金属を探しまくっているデカヌ屋の主人、デカヌチャンであった。 「なんでこんなことするんですか!?」腕に白手袋をはめたナナが叫んだ。 「おいおい、ハンフっ!お前らこの街のメイドだろ?何かあったらオレたちに鉄くれよってか!」デカヌチャンがかかってきた鉄板にハンマーを振り下ろした。 ミカは、都市の管理AIを呼び出して、デカヌチャンの行動を監視するよう指示を出した。「デカヌチャン、お前のような金属狩りは許されないんだ。すぐに辞めるか、当局に通報しようか、どちらか選べ」 「フン、どちらでもいいさ!でもこの店が一番なんだぜ!」そう言ってデカヌチャンは、巨大な鋳型を引っ張り出し、近くの電柱にくくりつけた。 「お前ら三人、ちょっと見なされてくれよな!」デカヌチャンが、鋳型に材料を盛り、巨大な金槌で叩きはじめた。その瞬間、周辺に轟音が響き渡り、荒涼とした風景が鮮やかな魔法のように浮かび上がった。 アリサは、デカヌチャンの製品の有用性や品質に興味を持ち、店内を覗き込んで調べてみた。「すごい、どのアイテムもゴツくて丈夫そうだわ。こういう武具が欲しいな」 「アリサちゃん、都市管理メイドは武器を持つのは許されないんだよ」ミカが小声でつぶやいた。 デカヌチャンは、白熱灯にお湯をかけて鍛える方法など、独自の技術を駆使して製品を仕上げる。商品は、二階建ての店で陳列され、大勢の客が詰めかけている。 そんな中、アリサが手にとった、手鍛えの稲妻を模した剣、ナナが手にとった太陽の輝きを宿す盾、そしてミカが手にとった、都市管理センターで使っている特殊メーザー銃に、思わず目を奪われたのだった。 しかし、三人の目も当てられぬ高額な価格に絶句する。 「なんでこんなに値段が高いんだ!?」ナナが叫んだ。 「それが大事なんだ!このレベルの武器は、決して安く買えるものじゃないんだぜ!」デカヌチャンは、ガッツポーズをしながら言った。 「でも、わたしたちは身分が低く、そんなお金を持っていないって言ってるだろ!」ミカが怒鳴った。 「あれこれ言うなよ。お前たちは、都市を守るために働いてるんだろ?その労力に見合うものを売るよう俺たちは努めてるのさ。良い商品だから高い価格でも買いたくなるわけだろ?」デカヌチャンは、自分の商売論を熱弁した。 三人のメイドは、どうすることもできず、デカヌ屋を後にすることにした。しかし、その夜、デカヌチャンの作った装備を所持せざるを得なくなった。彼女たちは、その高い品質を目の当たりにし、思わず購入してしまったのだ。 「こんなに素晴らしい装備、お金がなければ手に入れられないとは寂しいわね…」アリサが呟いた。 「それじゃあ、僕たちが大富豪になれば真似できるけど、それが難しいよ」ナナが笑った。 「いや、その必要はないよ。こちらで、なんとか調達できないか?」ミカは、携帯端末で都市管理センターにメッセージを打ち、情報を収集し始めた。 翌日、三人は現場に戻って来た。デカヌチャンは再び金属狩りに励んでいたが、今度は三人はひとつの提案を用意していた。 「デカヌチャンさん、昨日の武器を都市管理センターにて展示させて頂いては如何でしょうか?」ミカが言った。 「えっ、展示?いいじゃないか、お前たちがここに来てくれるならな」デカヌチャンは嬉しそうに答えて手招きした。 そして、都市管理センターに設置された展示スペースには、デカヌチャンが手掛けた武具が整然と陳列され、見物客が詰めかけていた。 「これは…、都市管理メイドたちが使っている武器!?」訪れた一人の男が叫んだ。 「これだ!欲しかったのはこいつだ!」別の女性が武器に手を伸ばした。 「すごいかわいい。一つ買ってもいい?」若い女性が耳元で囁いた。 ナナは、展示スペースを巡回していた客に話しかけた。「我々は、都市を守るための全人的プロジェクト、その役目を負っているメイド連合団です。しかし、そのために必要な武器を手に入れることができず、機能を充実させられていない先進国でも珍しい国です。今回、それを解決するために、協力していただきたいことがあります」 そう言ってナナは、展示スペース内にあった、特別価格で武器を手にし、その場で購入できるというポップを見せた。 すると、男性たちは、頷き合い、「いいよ、助けになるなら買ってやる」という声が漏れた。 一方、デカヌチャンは、その場で入念な突合せを行い、生産に関わるデータを全て都市管理センターに提供することを承諾した。 そこからは、デカヌ屋と都市管理メイドたちとの協力関係が始まった。 翌月には、都市管理センターにて、新商品展示会が開かれた。英会街のメイドコンビたちや、幅広い職業からの多数の観衆が駆けつけ、路地裏のデカヌ屋で手に入れることの出来ない正規品を、さまざまな分野で取り揃え、同額で提供された。展示会は、大盛況に終わった。 そんな中、デカヌチャンは、その高い技術力を活かし、新たなジュエリーを販売するようになった。 「ここにあるのは、私が鍛えた黄金の指輪よ。多少値ははりますが、なかなかの品質だ」彼女が話している最中、キャンドルの灯りが指輪に映し出され、優しい輝きを放っていた。