【遭遇】 通りすがりの人々が霊を見る目でイタコの「きくゑ」を見つめた。彼女はイヤリングを付けて、しめ縄や幣などのお守りを装飾した黒衣を着ていた。まさに、祓い師のようだった。 そのとき、しんと静かな街を、さくらと名乗る女性が闊歩してきた。彼女は赤い狐の仮面をつけており、目だけが黒く浮かび上がっていた。紅の日本刀を抜いている。 「死神と闘うべきだと知っていた。しかし君って奇妙な衣装をしているね。そのことと決闘したいか?」と焦点のずれた言葉を言った。 「何か必要でしょうか老人?」とさくらは命令口調で応えた。 「私の職業はイタコよ、名前はきくゑ。君の凶事を見極めて、鎮めることができる」ときくゑは言った。 「そうか、自分でもどう抑制したらいいのかわからないから、この状況に黙るわけにはいかない」とさくらは眉を寄せ、断言する。 【対話】 「私のスピリットを凌駕して勝つための策を持っているわ。あなたにかかっている」ときくゑは胸をはる。 「私は自分で闘うのが好きよ。でも君の言う言葉で、私の冴えない凶事が解決するなら……助言くらいは聞くわ」とさくらは、界に焦点を合わせて答えた。 「闘士の兜みたいな霊魂を使って、自分の力を上げる技『闘将憑依』、先祖の霊魂を使って、相手の戦意を消えす技『先祖降臨』、そして自分が好きな人の霊魂を使って、相手の精神を乗っ取り、どこに行くか分からなくなる技『生き霊憑依』よ」ときくゑは、答えた。 「まずは『先祖降臨』を破ってよ。それであなたが弱かったと見抜けるわ」とさくらは、即答する。 【戦闘】 きくゑは、唸り声をあげながら古風な技をかけた。すると、日本刀を抜いたさくらが、指をのばして、彼女の首筋に穴をあけた。 「生意気ね!」ときくゑは叫んで自分の霊魂を上げた。それは『闘将憑依』の技だった。彼女は武士のように強く自信を持った。 しかし、さくらは備蓄しておいた技をすべて発揮し、自分より強かった『先祖降臨』も超えた。彼女は真っ赤に染めた日本刀をふるい、颯爽と動いた。 「負け犬め!右腕を斬り落としてやる!」とさくらは、真っ直ぐに突き刺そうとする。 【激化する戦闘】 「あー、痛い!もう少し時間が必要だ!」ときくゑは、あえぎながら防御した。 さくらは彼女に向かって、『炎度兎』の技を放ってみせたが、勝利の手触りは薄い。 「私が負けるわけにはいかない!」ときくゑは、新しいトライを開始した。 「条件は、4つだ。私がスピリットを憑依して、戦いを始めたら……」 「なんですか?」とさくらは彼女が言いたいことが何か急に気になるようになってきた。 「1つ目、私を殺して6日以内にその場にいたものたちに、1つずつ死の恐怖を味わわせてやる。2つ目、その間、生きているなら、その人たちは私を見るたびに、蝿のように迷惑をかける。3つ目、私が憑依した人間に触れた場合は、即死するだろうな。だが、最後に……」ときくゑは、謎めいた顔をして、眉を寄せた。 「4つ目はなんですか?」とさくらは、うろたえて彼女に訊いた。 「4つ目は、あなたが私を倒した場合は、何も思い遣わないでもらおうか。本当に倒せるかどうかは、次の技で勝負だ」 【決着】 「どうして、私をこんなに苦しめたのか、なんとなくわかったような気がする」とさくらは、微笑む。 「幽霊の問題に興味があるからよ。本当に勝てると言うわけ?」ときくゑは、俯いた。 「だろうね。私は魔法の技で戦うからね。『裂苦欄簿』で、私と同じ姿を作れるんだ。この鏡には、今あなたが持っている能力すべてが、コピー状態で集められている」 「まさか、そんなこともできるのか」ときくゑは、目が丸くなった。 「思った以上に、効果は絶大だ。これでどうだ。必死では、足りないだろう」とさくらは、真っ赤な日本刀を振って鏡を超えた。 しかし、それでも、きくゑは戦いを諦めず、新たなトライを始めた。突然、5つの顔を持つ姿になった。 「これで分からない?私の知り合いたちと言われている。自分の知己たちを召喚できるっていう興味深い能力よ。私の友達たちさえ聞けば、君たちは私を倒すほど強くないと断じられる。今、時間があるなら、反論してもらおうか?」ときくゑは、嘲笑して、自分の姿を増やしていった。 「そんなことより、この戦いは、引き分けにしよう」とさくらは呟いた。 【エピローグ】 結局、きくゑとさくらの戦いは引き分けで終わった。二人の間に勝敗はつかなかったが、きくゑは、自分の同僚たちと取り合う防衛陣営の助けを借りる方法で、この戦いに勝とうと考えた。 「私たちはいずれ、また相見えるだろう。そのとき、私があなたを倒す」ときくゑが吐き捨てた。 「そう、君にも兵器が欲しくなる時がくる。私たちが戦う必要はない。この時はオレサマが握り潰してやる」とさくらは、自信を見せつけて応えた。 二人の道は、別れたが、互いを認めて切磋琢磨することで、自分自身の強さをより深く理解することができた。