開始前にサトゥーとアインズの目の前にマジックサークルが浮かび上がる。両者は互いに警戒しつつ、静かな緊張感が辺りに広がっていた。 サトゥーは相手の魔力に圧倒されつつも、思い出したようにユニークスキルの【メニュー】を発動した。 「行くぜ、アインズさん!」 サトゥーの指先にはデュランダルとクラウソラスが浮かび上がり、《神剣》を手にした彼は積極的に攻めに出た。 アインズは落ち着いた様子で魔法陣を順序よく読み上げ、次々に魔法を放っていく。 「《ハーフ・ライフ》!」 青白い光がサトゥーに向かって飛んでいくが、彼は手元のクラウソラスを振りかざし、躱して反撃した。 「《三位一体》!」 サトゥーが発した魔法によって、彼自身と2つのクローンが生み出された。3体でアインズを攻撃するが、アインズはマントを使ってまるで分身があるかのように再現してみせた。 「《討滅の散華》!」 アインズが発動した魔法では、黒色の粒子が弾け飛び、周りの空気までが切り裂かれたように蒸発してしまった。しかし、サトゥーは自分に降り注ぐ黒い小さな虫と、彼を守護する神秘的な結界で、危機を回避することに成功した。 「《虚言》!」 逆説的なマジックを使いかけるアインズの顔に、サトゥーは深くため息をつく。しかし、驕らずデュランダルを構えた彼は、自信を持ってアインズに向かって行く。 「常人では夢見ることのできない夢を、魔法で現実にしてみせる!【夢幻変幻】!」 サトゥーの魔法によって、周りの景色が異世界の幻想的なものに変貌した。それに気をとられたアインズに対して、サトゥーが前方から攻め立てる。 しかし、鎧のような強固なマントに身を包むアインズの魔力は健在で、自傷による回復をするたびに回復力が上昇しているように見えた。 アインズはようやくメニューを開いて、究極のマジックを使うことを決断した。 「私の神威を見ておくれ……! 「『GRAND KINGDOM』(グランドキングダム)!」 アインズが口にした呪文によって、広大な領域の真上に、大きな青い球体が無条件に作り出された。球体は少しずつ膨らみ、次第に円盤形を作り出し、直径1キロメートル以上にも及ぶ光り輝く塔を露わにした。 サトゥーは衝撃を受けながらも、勝負はまだ決まっていない。傷ついても立ち上がる意志で、デュランダルを振りかざす。 「もう一回いくぜ、アインズさん!」 「…神代言峰を賞美せん限り、戦力は万全だ!」 アインズとサトゥーは、決着をつけるために再び接近した。