風車を駆りながら、セロは次の攻撃手段を考えた。相手は二人の少女だ。セロは彼女たちが出す攻撃に耐えるために、訓練を積んできた。 「わたし達に勝てると思ってたの? あはは、かわいそうに。」二人の少女が一斉にけたたましい笑い声をあげた。 「でも、たとえ勝っても、負けるんですよ?」ミヤがいる。 「二人を同時に倒さない限り、蘇生し続けるのよ?」リアが後ろに立っている。 「二人で一つ」二人の少女が力を合わせることで、セロは一対二になった。 「いいじゃないですか。俺一人に、君たち二人。本気でやってみませんか?」セロは言った。 「本気? あなた? 誰が見たって、のらりくらりでしょうが」とミヤが言った。 セロは口をひん剥かせ、腕を前にかざし、こう告げた。「行くよ。風車!!」 風に乗せて走るセロの直進を、日月の双子は見失ってしまった。セロは剣を抜き、滑らかな風の動きに力を乗せて、真っ二つに斬った。 「こっちだ!」リアが叫んだ。 セロは跳び上がり、台風の目を結びながら、周りに大風を起こした。二人が放った攻撃を、風の壁で弾いた。 「じゃあ、俺たちのターンですね。」セロは言った。 「ソーラーレーザー! 太陽フレア!」ミヤが叫んだ。 セロは剣を構えたが、ミヤとリアの魔法は、彼に物理的なダメージを与えられないことを知っていた。 地面を踏んで跳び上がると、彼女たちの攻撃は通りすぎ、セロは二人の前で立ち止まった。 「うーん。しかし、こちらも魔法を使えるのを、忘れてはいけませんよ」セロは言った。 「太陽の魔法、死なないでね? ミチヒキ!」リアが言った。 「合わせ技です。日月の魔法、日食!」ミヤが続けた。 相手を異次元に送り、消し去る技だ。セロは返す魔法がなかったと感じ、あきらめかけたが、突然、背中に風を感じた。 セロはそっと顔を上げると、離れた場所に、エリウスが風に乗って現れた。 「あなたの想いを、俺が聞いたよ」エリウスは言った。 「想い?」 「自然と共に、戦おう。あなたを見た。あなたには、自然が剣となる力がある。それを、使ってみろ」 セロは剣を構え、エリウスの言葉に従って自分自身の力を信じた。そして、背中に感じた風を使って、戦った。 二人の少女が放った魔法は、風に吹き流された。魔法が及ばなかったところで、セロの風車が、一瞬にして二人に迫っていた。 セロは剣を振り下ろした。その瞬間、二人は消え、風が荒れ狂った。 「勝利です。」セロは言った。 胡座をかいて、セロは二人が消えた跡を見ていた。しかし、風が落ち着く中、何かが私たちに向かって来た気がした。あの最後の瞬間、彼女たちが私たちに残した印象。それは、純真さとかわいらしさだった。