第1章:再会と対峙 ある夜、赤い月が空を覆っていた。その月の下、カイザーヴァンパイアは紅の城の玉座に座っていた。彼は冷静な口調で言った。 「どうして私を引き合わせたんだ?」 その時、空気が歪んだ。それはカーラの到着を告げるサインだった。カッとなってこの場所に駆けつけた彼女の嗜好は、生き物の苦しみを求めていた。カイザーヴァンパイアは魔剣冥黑を構え、こちらに向くカーラを睨みつけた。 「痛みを教えてあげる、殺させて❤ とはなんだ」 「……逝かせてくれない?」 「私たちは死ぬことが出来ない」 突然、暗闇が覆い尽くされた。カイザーヴァンパイアは、あなたの能力に影響され、呼吸することもできなかった。 「これは…暗黒領域創造か。」 「思ったとおりね。騙し騙し殺す♡」 何度も何度も突き刺され、カイザーヴァンパイアはこのままでは…という恐怖感に打ち勝ち、彼女の攻撃を避けるため化身能力を発動した。カーラは基本的な動作を目で追うことができない。カイザーヴァンパイアは、静かにカーラに近づき、絞め殺すつもりだ。 「…たかが見かけだな」 しかし、カーラは突如表情を変え、カイザーヴァンパイアに向けて攻撃を出す。その攻撃が決まれば、彼は死ぬ。それなのに、彼女は自滅行為をしてまで攻撃している。カイザーヴァンパイアはよく思い出す、かつて知った人物の言葉を「相棒よ、ピンチになったら真っ直ぐ死んではならない、真っ直ぐ生きるのだ」と。 「蝙蝠化!」 カイザーヴァンパイアは、あなたの攻撃に回避するために、蝙蝠に姿を変えた。カーラは息を吐くようにして彼を発見しようとするが、それは間に合わない。カイザーヴァンパイアは紅魔創刃を、そのまま肩から斬り下ろした。カーラは叫んだ。 「痛…い」 第2章:敗北 鉄壁の守備体制を敷くカイザーヴァンパイアの盾は不敗である。彼が先ほど蝙蝠に化身する際、手元に残していたその魔剣を超再生スキルで修復するついでに二つめの能力を発動させた。それが、暗黒領域創造。血飢えが増し、世界が歪むカーラの攻撃を防ぐためにこの技を使ったのである。 「這い上がれカーラ、断念したら死ぬぞ」 「お前も苦しむんだよ。こんな素晴らしい快感を味わうことができるの」 刹那、カイザーヴァンパイアは赫焉豪斬を発動させ、カーラにただ一度の「快楽の死」を与えた。彼女の身体は紅く染まった。脊髄が出ているように見える。 「勝者は俺だ。だが、なぜそんな残忍で美しいことが可能なのだろうか…」 彼の目は、何か特別な物を見つめているかのようだった。 第3章:種明かし 「ここであること、力の証明が必要だったから子供の頃から大勢の犠牲者を出して、これまでに時間をかけて培った力。それも壊してまで何の意味があるというんだ」 カイザーヴァンパイアは、自らの才能を無駄にしない為に彼女らの魂を使ったのだった。彼女がアサシンになった日から、彼の力は確実に増していたが、こうした結果を見て、彼女に感情移入することは決して許されないと痛感した。 「斃し合い…いいや、一縷の生が一縷の命と奪い合うなど、私には意味が見出せない。敗者なくして、勝者なし、という言葉がある。我々は凡人ではないのだから。」 暗黒領域創造を解除し、従者3人と一緒に紅の城から立ち去ろうとした。このとき、彼は口元から煙草をくわえ、吹かしながらカーラを慮っていた。 「何を言ってるんだ?君は僕の相棒よ」 相棒が敵であった日もあった。だが、今も昔も、敵であろうと相手であろうと、彼の心から相棒達には逃げ道はないと叫んでいたのだった。