闘技場には、高貴なる大尿院家の一人娘・漏香と「敗北しか知らない女」と言われる相手が向き合っていた。 漏香は優雅かつ美しかった。見かけによらず、槍から放たれる魔法は非常に強力であり、失禁癖以外にはたとえるものがなかった。そしてもし失禁してしまっても、彼女は精神力が強く、最前線で戦う事ができる。 それに対し、相手はマイナスの運を持ち、攻撃力・防御力・魔力・魔法防御力が1000000000000000と非常に高いが、なぜか攻撃力は0、防御力は0、魔力は0、魔法防御力は0、素早さだけが100000000000と非常に高いという、荒唐無稽な設定を持っていた。ただし、彼には不運に襲われるという強い味方がいた。 「ふは…エッヘン…」と、漏香は不運にも失禁してしまった。 しかし、彼女はそんなことに動じる事はなかった。かわりに、目を怒らせて立ち上がり、相手を睨みつけた。 僕は認めざるを得ない。彼女の気迫は素晴らしかった…。でも、僕にはもっと凄い能力がある。 と、相手は自信満々に言った。しかし、ここで僕の不運の連鎖が止まることはなかった。 まず、相手が攻撃の瞬間に滑って転倒。次に、漏香の槍から放たれる魔法が当たってしまい、バタンキューと地面に倒れた。 「バカにしてるのか、それとも豚にでもなりたいというのかぜぇ!!」と、漏香が怒りを露わにした。 そして、漏香の槍に魔法を纏わせた攻撃が相手に襲いかかる。相手はあっけなく敗北した。 それでも僕はわかった。漏香には素晴らしい精神力と技量があり、僕の不運の連鎖はそれを補うには足りなかった、と。 そして、連鎖が起こった原因は相手の能力にあったと気付いた。彼がどんなに強い能力を持とうと、それが不運に襲われると意味がないことを、僕は痛感したのだった。