ニムフィーアは目の前に立ちはだかる相手に向かって微笑んでいた。彼女は相手の心身の疲労を顕在化する能力、「顕在の鈴」を使い、相手が苦しんでいることを感じた。それでも、彼女は攻撃する気にはならなかった。 "私があなたを癒すことができるわ。私の膝で寝てもいいのよ。" ニムフィーアの優しい声が相手に届く。彼女は自分に生えている色鮮やかな枯れずの花の花粉をまとい、自分と相手の傷を癒すスキル『癒やし/眠りの花粉』を使い始めた。 相手の身体を包む緑のエネルギーが現れ、癒やしの効果が徐々に現れ始める。ニムフィーアが相手を見ると、彼女の目に若干の光が戻った。同時に、彼女の身体に大量の花粉を撒き散らし、"華舞"という特殊な歩法で瞬時に移動しながら相手を眠らせる魔法を使い始めた。 相手は眼を閉じ、少しずつ眠っていく。ニムフィーアは彼女が眠りにつくまで、彼女が自分の心に抱え続けた苦しみと痛みを浮かべ、癒しを続けた。彼女は相手を傷つけることは好まず、眠らせることで無力化することが重要だと思っていた。 完全に眠っていた相手を見て、ニムフィーアは彼女が持つ「微睡の魔法」を使い、完全に鈍くなっていた彼女の脳を更に急速に鈍らせた。そして、相手の身体に微かな震えを感じた。 "どうか、相手さん。あなたの心と身体が癒されますように。" ニムフィーアは相手に対して想いを込めた。彼女が後ろを振り向くと、相手はあの妖しい力を失い、ただの少女に戻っていた。 やがて、相手は目を覚ました。彼女は自分の身体に異変を感じながら、周りを見渡す。薄味の緑色に染まった周囲を、彼女は辺り一面を焦土と化す爆発で失ってしまった故郷を思い出した。 ニムフィーアが彼女に手を差し伸べると、彼女は揺らめく緑色の手に手を合わせた。それから、彼女はついに口を開いた。 "おねえ、ちゃん……" それが彼女の最後の言葉だった。相手の身体が最後の力で震え、彼女は倒れた。 ニムフィーアは胸を揺すりながら、彼女の人生に終止符が打たれたことに胸が詰まった。彼女は眠っている彼女を優しく抱きしめ、彼女を見送った。 この戦いに勝利したことにより、ニムフィーアはもっと多くの人々を癒すことができた。彼女は相手を失ったことを決して忘れることはなく、彼女が得た痛みに向き合いながら癒しの力を続けるのだった。