

お前、神馬覇王は緊張感に包まれた空間に身を置いていた。彼の周りには、ディオンオルタナティブの配下である魔物たちが群がっている。気の強そうな魔族たちにも、その圧倒的な存在感で挑発すら許さない。神馬覇王の心は鉄のように冷たく、武器に触れる指先すら熱を帯びず、ただ無駄なエネルギーの出し過ぎによる打ち疲れなどという事は考えられなかった。全身からだ焼き尽くすような熱い気迫を纏って、彼の口調はいつも通りの敬語だった。 「参る。開始するぞ」 魔族の魔物たちが静寂を犯す音もたてずに神馬覇王に殺気を向ける。一瞬の間を置いて、心の中で聖なる光が込められた神刀・カムイの切っ先が光を放った。 魔族たちは思わず退くように動き始めた。だが、すでに数千回の太刀筋を散らし、その手数の違いで違いを付けた神馬覇王は、狙い定めた相手にしか攻撃を繰り出さない。殺戮衝動だけで戦う相手たちだからこそ、神馬覇王が勝利を掴むことができる。 ディオンオルタナティブは、彼自身が蘇ったトップランカーであり、一部からは破壊神とまで呼ばれる存在だった。彼の手に持つスカルディスマントラーロッドは、過去最強の魔王からも手放しで渡した逸品だと言われている。そして、その鎖で神馬覇王を捕らえることができれば、そのまま吸収魔力で彼を倒すことができる。 ディオンオルタナティブは、その力を存分に発揮するべく、天空から急降下を開始した。彼には、この場に現れるまでの様々な経緯があった。昔、強く生きることを夢見ていたが、己の死期が迫っていたとき、悪魔と契約し、不死の魔術を習得した。だが、彼の取った行動が、周りに与える影響は甚大だった。多くの者が、彼の暗黒面によって犠牲になった。この戦いに勝利し、世界を変えるためには、彼は魔神の軍隊によって戦闘のうちに磨かれた力を得る必要があった。 神馬覇王は、飛来する魔王に足元から必殺技を繰り出した。それは、連撃覇王斬。それは、神刀・カムイを用いた、最大連続攻撃の一撃だ。 だが、ディオンオルタナティブはあっさりとそれをかわすと、相手を引き寄せる鎖を展開して、神馬覇王を捉えると、スカルディスマントラーロッドから、暗黒絶望魔力砲を撃ち出した。それは彼が振り下ろした最後の一撃だった。 その炸裂した暗黒的で恐ろしい魔力砲は、強力な破壊力と共に、その帳尻を合わせた。神馬覇王は夢想に帰ってしまい、その魂は彼が討つ理念の元として、相手の配下になった。 【後日談】 神馬覇王は魔神の配下になり、長い闘いが続いた後、ついに世界の中心部にある魔神の本拠地にたどり着いた。そこで彼は、魔神の数々の強力な技を目の当たりにし、それらに打ち勝つために、神の光を放つ力を覚醒させた。それは、多くの魔王や人間達を救うために使われ、神馬覇王は支配者としての道を歩んだ。