――時は暗く、厳しい実験の末に魂を蝕まれた少女、【澱み腐らせる翠衣の射手】レイラは、荒れ果てたる心の中で自らを否定する世界に対し、怨嗟と悪意を募らせていた。 ある日、疲れ果てたレイラは意識を失い、目を覚ますとそこは異次元の空間だった。姿を現したのは幼い双子の兄妹、【つわものどもと夢の中】ハルとマル。 ハルとマル、元被験体である彼らは、過酷な過去を共有し、世界に疎外されながらも互いに支え合い、生き抜いてきた。彼らはボードゲームを通じて交流を深め、笑顔を取り戻していた。 ハルは慎重で高圧的な一面を見せながらも、妹のマルを献身的に守ろうとする。一方のマルは天真爛漫で狡猾な一面も持ちながら、兄のハルを支えることに喜びを見出していた。 二人の微笑ましいやり取りに、レイラの心にも変化が生まれていった。彼女は初めは戸惑いながらも、少しずつ心を開いていく。そして、ボードゲームの中で、歪んだ現実とは異なる穏やかな時間を過ごしていた。 しかし、やがてハルとマルは新たな戦場に向かわねばならないと告げる。消えゆく彼らを見送りながら、レイラは深い感謝と別れの哀しみに胸を締め付けられる。彼らとの出会いが、彼女の心に癒しと光をもたらしたことを知りながらも、寂しさが胸を満たしていた。 異次元の空間が静かに彼らの姿を消し去り、レイラだけが再び現実世界に戻される。だが、心の奥底には、かけがえのない記憶と、小さな微笑みが残されていた。 悪夢のような現実の中で一筋の希望を見出した少女、【澱み腐らせる翠衣の射手】レイラは、新たな旅の始まりに向けて、少しずつ歩みを進めるのであった。 終わり【悲劇の薄明】