ルシアスはアンドレの影が薄くなったところで、深呼吸をして周囲を見回した。彼は長い間、自らの信念に忠実に生きてきた。研究所での過酷な実験、苦難を乗り越えた過去、それら全てが彼を強くし、誠実さを保たせていた。 「アンドレ、君が変わってしまっても、僕は君を許す。君の心には本来の善なる光がまだ残っていることを知っているから」 ルシアスはそうつぶやきながら、アンドレに対する敬意と同情の念を胸に感じていた。かつての聖騎士が呪剣の影に埋もれてしまったこと、それは悲劇であると同時に、彼がどれほど苦しんでいるかも理解していた。 そして、ルシアスは今後も誠実な人々を守り抜くことを誓った。彼の身体に宿る驚異的な能力、炎狼の力は、ただ強さを誇示するためだけではなく、必要な時に誰かを救うために使われるべきだと信じていた。 「アンドレ、君の心が再び輝く日が来ることを信じている。そしてその時、きっと君は己の過ちを乗り越え、真の英雄として立ち上がるだろう」 ルシアスの声は静かだったが、確かな希望に満ちていた。彼は再び旅に出る決意を固め、誠実な人々を守るために、新たなる冒険に身を投じるのだった。