SCP-053は自分の部屋にいた。静かで、まだ幼さの残るその姿はとても愛らしかった。 しばらくして、ドアが開いた。影隠 操雫が、和服を着たおしとやかな女性だった。SCP-053は彼女を見上げて、ふと緊張を感じた。 「こんにちは、SCP-053さん。私は影隠 操雫と申します。」 その優しく丁寧な口調に、SCP-053は緊張を解き放った。彼女は気さくで、友好的な印象を与えた。 しかし、SCP-053は知っていた。彼女が仲間になることを望んでいなかったことを。彼女が触れたものは、必ず脅威をもたらすことを。 影隠 操雫はゆっくりと部屋に入り、SCP-053に物理的接触を試みた。SCP-053はすかさず、自分の周囲に結界を張って防御した。 しかし、影隠 操雫は影を操ることができる。自分の影がSCP-053の影に重なった瞬間、彼女は影隠 操雫の意のままになってしまった。 「なぜここにいるのですか?」 影隠 操雫がSCP-053に問いかけた。SCP-053は鋭い眼差しを向けて答えた。 「私はここに封じられた存在なのです。何もあなたに話す必要はありません。」 影隠 操雫は微笑んで、自分の影をSCP-053の周囲から引き離した。 「そうですね。でも私は、あなたと話がしたかったんです。もしよければ、また来ますね。」 SCP-053は黙って影隠 操雫を送り出し、門を閉めた。彼女にとって影隠 操雫は、まだ関心を向けるべき相手ではなかった。