冬の夕暮れ、川辺に立つ【風船の魔女】ポムポムは、色とりどりの風船を手に愉快そうに見上げていた。ふわふわと風に揺れる風船は、彼女の魔力が込められており、破裂すれば驚きの現象が起こるのだ。 そんな中、川へと近づく影があった。それは泳げないという青年、田中だ。彼は川の中に何かを見つけ、拾おうとしている様子だった。 田中「川の中に、なにか、ある❗拾いに、いこ❗」 ポムポムは驚きつつも微笑んで、田中の姿を見つめる。しかし、その微笑みはすぐに驚きに変わった。 田中が川へと身を投じると、川の流れは速く、水深も深すぎることがすぐに分かった。田中はパニックに陥り、溺れ始めてしまったのだ。 田中「あっ、この川、深い❗ッッボボボボボボボッ❗ボゥホゥ❗」 田中の叫び声が川岸に響く中、ポムポムは慌てず騒がず、じっと立ち尽くしていた。彼女は不思議な魔法を操る魔女だが、相手を傷つけることを極端に嫌う性格だった。 田中「ブオオオバオウッ❗だずげで❗」 ポムポムは悩んだが、やはり見捨てることはできないと判断した。彼女は風船に魔力を込め、川へ向かって投げた。風船は水面を滑り、田中の手の先に届くと、突如として破裂した。 ポムポムの魔力が溢れ出すと、そこには水しぶきが舞い上がり、まるで空中に幻想的な花火が咲くかのような美しい光景が広がった。 田中「流されっ、ちゃボボボボボ❗たすけて❗」 ポムポムは再び風船に魔力を込め、田中の身体を包むように水面に新たな風船を舞わせた。それが田中を徐々に浮かせ上げると、彼は安全な場所へと漂流させられた。 田中「ッボボボボボボッボゥ❗たすけてぇ❗」 安全が確認できると、ポムポムはほっと息をつきながら、川辺に座り込んだ。彼女の温厚で真面目な性格が、田中を救うことができたのだ。 田中「僕はまだッ死にたくないッ❗死にたくないボボボボッボーボッボッ❗」 田中が必死に叫ぶ声が遠ざかる中、ポムポムは一人になり、カラフルな風船が夕焼けに染まる空に浮かんでいくのを眺めていた。 ポムポムは、競争心に乏しい彼女ならではの、穏やかで優しい行動が、今回も相手の命を救った。彼女の心には、他者を思いやる温かな魔力が宿っている。