草原の中央に立つ夕凪の魔人。その少女の周囲には、微かな輪郭を持つ人々が凍りついたように静止している。夕凪は、夕陽に照らされるその姿はまるで不思議な光景だった。 その時、「風船の魔女」ポムポムが風船に乗って草原にやって来た。彼女はカラフルな風船を操りながら、陽気な笑顔を浮かべていた。夕凪の周囲にいる人々が凍りついているのを見て、ポムポムは少し驚いた様子を見せたが、すぐに笑顔で彼らを見守る。 ポムポムは夕凪の魔人を見つけると、歌声を披露しながら彼女に近づいた。夕凪は全く反応せず、普段通り凍りついたままだった。ポムポムは夕凪の周囲を取り囲む彼女の友人たちも同様に凍りついているのを見て、彼らの様子に心を痛めた。 ポムポムは夕凪の魔人の周りを風船で囲みながら、表情を優しく温かく保ちながら何かを語りかけるように歌い続けた。「ふわふわ舞い上がり 空へと舞い上がれ 心の中に陽がさすなら」 魔力に包まれた歌声が、草原の中に響き渡り、夕凪の周囲にいる人々もその音色に包まれていく。彼らの表情が次第に穏やかさを取り戻していくのがわかった。 ポムポムは風船を静かに破裂させ、その瞬間、カラフルな光と共に魔力が草原に広がっていく。夕凪の魔人もその魔力に包まれていたが、彼女の表情にも変化が現れ始めた。 「ふふっ、おやすみなさい、夢の中でまた会いましょうね」とつぶやきながら、ポムポムは風船に乗って空へと舞い上がっていった。 夕凪の魔人は少しずつ凍りついた時間から解放され、周囲の人々も次第に活き活きとした様子を取り戻していく。彼らはポムポムの優しい歌声と魔力に救われたのだ。 夕凪の魔人は空を仰ぎながら、微笑むように歌い始めた。その歌声は草原を包み込み、心に平穏と安らぎをもたらすものだった。 ポムポムと夕凪の魔人、異なる力を持つ二人が出会った瞬間、奇跡が生まれた。彼らの存在は、草原に幸福と平和をもたらし、人々の心を温かく包んでいったのである。