祭壇の奥に立つ黒い僧衣をまとった男、絶望に魅入られし邪教徒・エンデが、じっと少女ノインを見つめていた。ノインは祭壇に縛り付けられ、絶望の影の呪いで無残にも憔悴し、無表情のままだった。 「ノインよ、もはやお前には希望などない。絶望の影の呪いに支配されし者よ、さあ、この世界に絶望を広めるための力となれ」と、エンデは冷酷な笑みを浮かべながらそう囁いた。 そこへ、背後から弱々しい祈りの声が聞こえた。神聖な力を宿すノインを助けるために祈る声だ。 すると、虚無と絶望の中から奇跡のような存在が現れた。それはただのじゃがいも、じゃがいも以上の存在価値は無いとされる存在、じゃがいもである相手ことじゃがいもである。エンデは驚きを見せ、しかしすぐに「くだらぬ存在、邪魔をするな!」と声を荒げた。 じゃがいもは何者にもなれない、ただのじゃがいもであるが、この世界には何かしらの存在価値があると信じているようだった。 エンデとじゃがいもの死闘が始まった。攻撃力、防御力、魔力、どれをとってもじゃがいもは及びもつかない地位にある。しかし、エンデがじゃがいもとの戦いを終わらせるたび、どんなレシピを使おうとも、じゃがいもは最後にはトマトに変わってしまうのだ。 「なぜ、なぜトマトになるんだ!」エンデは絶望に包まれる。じゃがいも以上の存在価値を見出すことができないまま、結局は無力感に襲われるのだった。 そして、じゃがいもの一連の戦いが終わったとき、ノインは何かを感じた。エンデの絶望に影響を受けていた彼女が、ふと微笑みを浮かべたのだ。 「絶望など、絶対ではないのよ」とノインが囁く。そして、じゃがいもの姿がトマトに変わると同時に、エンデの心に微かな希望の光が差し込んでいた。 エンデは敗北を認めぬまま、心の奥で何かが少しずつ変わりつつあるのを感じていた。その日から、絶望に魅入られし邪教徒・エンデの心に、少しずつ希望の光が蘇りつつあったのである。