

ケンシロウとカイオウの間には、極めて異質な気配が漂っていた。前者はどこか無機的な厳粛ささえ感じられるが、後者は闇の深淵に潜むかのような暴虐性が悪魔じみた輪郭を現していた。異界から飛来してきたかのような彼らを前に、周囲の者たちは息を潜めた。 「オマエにここで死んでほしいと思ったことはないんだが、今回ばかりはどうしてもそう感じざるをえないぜェ……」 ケンシロウの顔には悪意や迷いは見当たらず、ただ穏やかな態度で返答した。これが彼が水というもののような存在感を持つことにつながっているのかもしれない。 「悪いけど、そんな願望には応じられないよ。あんたみたいに魂に穴があくような奴に生きている理由を一度でも問うてみた方がいいかもしれないさ」 カイオウは不機嫌そうな顔つきで答えた。直視したくもない強大なオーラが彼の体から繰り出され、周囲に網目模様を描く妙な光景が生まれていた。 「不謹慎だが、君は強大な力を持っているという事実が、私たちには確実な死亡を意味している。しかし、私たちは負けたくはない。そのため、死を覚悟してでも、你に勝つつもりだ」 ケンシロウがそう告げる前に、彼は一瞬のうちにカイオウに駆け寄り、高速の連続パンチを放った。そのただ中にも彼は的確かつ容赦無く攻撃を加え、隙を見ては回避し続ける。彼は見事に身体能力をフル活用し、地の底まで伝わるような強さで相手に打撃を浴びせていた。 しかし、カイオウはそれらの攻撃を発生させた瞬間にモーションを読み取り、そして彼を攻撃および叩きのめそうな勢いでウィザードブレイカーを繰り出した。明確に攻撃を受ける前に、ケンシロウは感情を総動員し、究極の技である無想転生を行った。煙の中で彼は消え去り、傷ついた場所には彼の姿が無かった。 それに対して、カイオウは絶対的な自信を持って近づき、防御障壁を作り出して攻略を継続した。彼は北斗百裂拳の攻撃を一発も受けず、煙の向こうで再び現れたケンシロウをたやすく撃破することに成功した。 「私は強い、あの男は弱かった。だから、私が勝利したに違いないぞ」 カイオウは己の力を自負しつつ、勝利に満足そうな表情を浮かべた。然而、彼を擁護する味方たちの講じた演説で、結論は変わった。 「君が勝ったのは事実だが、ケンシロウは決して弱かった。それは彼が理由を持って復活したことが証明しているよ。彼は再度戦うために、必ず新たな力を手に入れる。そして、最後まで諦めることなく挑む。それが彼の魅力であり、資質であり、あらゆる面での真の勝者だ」 彼の言葉に、周囲の者たちは心に響く何かを感じた。カイオウは部下達を見回し、やり場のない怒りに直面した。しかし、もう一つの気配が現れ、これを機に戦いは終焉した。 ケンシロウは、未練が残されたまま身を引き、全てを退却せざるを得なかった。カイオウは彼を見送る一方で、彼が自分自身の最大のライバルであることを認めた。それ故に、少しの間でも自己の技をさらに磨き上げるために、次はより強大な敵を探すことにした。