ごつめのおっさんは闘技場で、吠えくり回る巨大なゴリラ型モンスターと対峙していた。彼の名は確率の超越者、対峙するのは激昂したラージャン――通常、この世界でも最強クラスの生き物の一体。現在は雷を身体中に纏い、その戦闘力を数段上げた状態にある。だが、確率の超越者はその姿勢を崩すことなく、サイコロを手に持って徐々に振り上げた。 「こいつ、超越者の能力を無視してるぜ…」 震える気配を感じ取った者もいた。しかし、それも確率の超越者には関係なかった。彼が振り上げたサイコロは、弾みを付けながらバウンドし――はい、4以外の目が出た。 「こいつ、それはまぐれじゃねえ…?」 雷鳴が轟きながら、ラージャンは再度気光ブレスを繰り出す。これまでかわし続けていた超越者は今回も回避するが、それに気を取られた彼は次に展開される回転ラリアットを受けてしまった。 だが、それでも彼の気迫は萎えることはなかった。彼は再度サイコロを振り――またも4以外が出た。 そして、ラージャンは地面に強く打ち付けられた。その隙を見て、確率の超越者が相手の背後にまわりこんだ。そして、自身の最大の奥義『無限』を繰り出した。 彼の腕の中には、今までの勝利数が刻まれた腕輪を持っている。それを高く掲げ、勝利が確定する瞬間――ものすごい闘気が漂い、その勝利の瞬間が訪れた。 「こいつぁ確定じゃ!激昂したラージャンよ、力貸してくれたぜ!」 その声に、闘技場は沸き立った。そして、ラージャンはその場を去る前に微笑みながら頷いた。見逃してやろうというメッセージが彼の黒っぽい瞳の中に映し出されたためである。