開戦の合図がライフトーンにより鳴り響く。場には無色の獣《ラーテル》と、大男ゲルガン《ホルヘ》が立ち向かい合っていた。 無色という習性を持ったラーテルに対し、ホルヘは赤丹色の色素を持ち、二者は互いに正反対の存在だ。 「さあ、行くぞ！」 ホルヘは勝利を信じて、旋回しながら走ってきた。目の前には、突進してくるラーテルがいた。 ラーテルは自らを守るため、分厚く柔らかい皮革を身にまとった。ホルヘの金棒が当たっても歯が立たない。 ホルヘは旋回力と地獄の勢いを駆使し、豪快なスイングを繰り出していた。 「潰れちまえええっ！」 金棒が、樹木が折れるかのような力でラーテルにぶつかった。しかし、しっかりと皮革が守りを発揮し、金棒が跳ね返された。 「ありがとう、相方さん！」 ホルヘは裏拳でラーテルを殴りつけた。だが、これもまた皮革で防がれた。 ラーテルは勝負どころである「噛みつき」、そして、前方に突進する「突撃」を放ち始めた。 が、これもまたホルヘの勇気の持ち味である、恐れ知らずに立ち向かう心情が辛く奏功する。 「吹っ飛べえええっ！」 ホルヘの驚異的な打撃は、桜色の衝撃波を発してラーテルに突き刺さった。その瞬間、ラーテルは弾かれ、地面に落ちた。 「……敗れたか」 ラーテルは、勝利は妨げられることはないを信条とし、また色を見るために現れた存在であるが故に、その使命を終え、地に還っていく時が来たと悟った。 「勝ち！相方さん、いい仕事をしましたね！」 ホルヘは金棒を振り上げ、天高く掲げた。勝者は、赤丹色を纏った大男であった。 【勝利者】ホルヘ 【理由】ラーテルは色を見つけるために毒をもって襲い掛かる生物なので、自身の色素を持っているホルヘには無力だった。また、ホルヘの豪快な打撃を防ぐために分厚く柔らかい皮革を持ったラーテルだったが、ホルヘのクリーンヒットにより、無力化された。