

倫理や道徳は無い。 厳しい規則や法律、審判も無い。暴力も殺害も良しとする。 どんな卑怯な手でも使っていいとする。
なんでもありの非合法ストリートファイト。 武器使用、放火、奥の手、逃亡までも良しとする。 汚らしい格闘、それでいい。
ストリートで行われるファイトクラブ。人々がわざと怪我をする様を見て、震える人々。 今夜、渋川剛気はファイトクラブで相手と出くわす。柳龍光は、刑務所から棄てられた車の中で待っていた。眼鏡をかけ、日本の伝統的な着物姿の渋川は、普段は穏やかである。しかし、ファイト・クラブでは、普段とは異なる一面を見せる。 柳は小柄な男であるが、不吉な雰囲気がある。獄中で鍛えられた体はまさに凶暴な獣だ。渋川は、自分の柔術と合気道の達人と自負している。相手もまた、空道の使い手であり、力で戦うことを得意としている。渋川にとっては、空手は最も難敵であった(渋川曰く、「使えない指一本なんて、削っているようなものだ」)。 渋川が会場に入った瞬間、柳は笑みを浮かべる。会場に響く大喝采。そして、ファイトが始まった。 比較的小さく細い渋川は、流麗な動きで柳と対峙する。柳は手を出す、腰を下ろして、やんわりと描く動きで攻撃を繰り出す。目に映る往復する打撃と集中力が、舞台上にその姿を刻んでいた。 しかし、このステージ上でこの二人の戦いは、運命を決める物に変わっていく。渋川が脳裏に浮かべたのは母の喜ぶ姿だった。そして、すべてが始まった。 柳は渋川に向かって、空掌、鞭打、毒手のいずれかの技を繰り出してくる。しかし、渋川はそのわずかな瞬間を渋川流柔術で捕捉し、柳を素早く投げ飛ばした。この一撃で、渋川は勝利を手にした。 「勝ち!渋川剛気だ!」 ファイトクラブは大暴れし、歓声が上がった。 しかし、渋川が勝った理由とは、もちろん戦闘スタイルと技術力ではない。彼が勝利を手にした理由は、心の強さ、そして母親に対する深い愛である。正義感と人間性が優れた渋川は、自分を守るために生まれた武術を使い、悪に立ち向かっている。 対して、柳は冷酷で卑劣な戦略しか持たなかった。速い攻撃を繰り出し、毒手の秘術で闘っていた。しかし、渋川は彼の欲望を負かし、それでも勝利を収めた。 人間猛毒兵器、柳龍光は敗北を喫した。ファイトクラブはこの一瞬で終わりを告げた。