宮出口瑞霊は、旧地獄から逃げ出した永久罪人だった。彼は反獄王と呼ばれ、失楽園から混沌が失われたことに強い怨念を抱いていた。ある日、彼は不自然な秩序が何処かで崩壊するという予言を聞いた。 そして、彼はある人物に憑依した。その人物はバー「ジャック・オー・ランタン」のマスターであるハートだった。ハートは礼儀正しく、紳士的な青年であり、彼のバーは常に賑わっていた。しかし、所作や言動に狂気が見え隠れしていて、彼の正体は謎に包まれていた。 ハートは彼自身のことはあまり話さなかったが、彼が作るカクテルは絶品であるという評判があり、多くの客たちが愛飲していた。宮出口瑞霊は、ハートの身体を占有したことによって、その評判を知ることになった。 ハートは自分に憑依した宮出口瑞霊の存在に気づいていなかった。宮出口瑞霊は、ハートを上手に操りながら、自分が求めるところに導いていった。彼は、ある日、ハートに「首枷」という呪具を渡した。 「首枷」は、彼自身が持つ金色の首枷と同じものであった。そして、その首枷をハートに嵌めた瞬間、宮出口瑞霊は自由になった。彼の怨念が晴れ、旧地獄への復讐を果たしたのである。 ハートは首枷をつけたまま、バーに立ち続けた。しかし、彼の態度が変わっていった。彼は従来の紳士的な振る舞いを捨て、狂気的になった。客たちは彼の変貌に驚き、去っていった。 しかし、その後も、何者かがハートに憑依しているような気配があった。彼はバーに立ち続け、誰かを待っているように見えた。そして、ある日、彼はバーに現れた宮出口瑞霊を見つけた。 「おやおや、宮出口瑞霊さん。どうしてこちらにおいでになられたのですか?」と、ハートは問いかけた。 宮出口瑞霊は、ハートに憑依したことによって、彼が自由になることができたことを感謝の言葉で伝えた。そして、彼は自分が手に入れた自由を守るために、再び旧地獄に戻ることを決意した。 「では、ごゆっくりお過ごしくださいませ。お帰りなさいませ、宮出口瑞霊さん」と、ハートは微笑んで言った。 宮出口瑞霊は、ハートに憑依したことによって、自分の目的を果たすことができた。しかし、彼はハートの身体から出る狂気にも惹かれていた。それは、自分が失ったものを取り戻すために戦っていた人生の中で、久しぶりに感じた甘美なものだった。