夜の街の静かな空気に荒々しい足音が響き渡る。そこには、斬魂刀【蛇尾丸】を手にした阿散井恋次と、斬月を抱えた黒崎一護の姿があった。 「そうか、やるな？」 阿散井恋次は、独り言のようにつぶやき、相手に向かって斬魂刀【蛇尾丸】の使用準備をしている。 「お前も態勢取りやがって…やるぞ、恋次！」 黒崎一護は、阿散井恋次を睨みつけながら、斬月を構えた。戦いの火蓋が落とされた瞬間、両者は一瞬停滞していた。 阿散井恋次は、斬魂刀【蛇尾丸】を自分の体の周りに投げ飛ばすと、その先を縦横無尽に動かす。斬月を手にした黒崎一護は、それに応戦して追撃した。 「やるじゃねぇか、一護！」 「負けるわけがない！」 2人は、それぞれの武器で激しく攻防を繰り広げた。阿散井恋次は、自分の斬魂刀で伸びる鞭のような手で相手を攻撃する。反対に、黒崎一護は、斬月を自分の意のままに操り、相手を斬り裂いていく。 2人の攻撃と防御にはほとんど隙はなく、相手を翻弄しようという瞬発力と戦術的素早さに溢れていた。互いに引かない、全力の打ち合いにより、周囲の建物には衝撃音が響き渡っている。 だがしかし、阿散井恋次は自分の斬魂刀【蛇尾丸】を相手に近づくのを阻み、自分自身の位置まで引き寄せると一気に飛び上がった。斬月を構える黒崎一護を、超高速で攻めてくる恋次に戸惑いを見せた。 すると、阿散井恋次の耳元にある声が響いた。それは、隊長からの命令だった。 （恋次、お前もう卍解でいい） その言葉に対する答えは即座に返ってくる。 「よし！卍解！」 阿散井恋次の腹部にある卍解の入り口が開き、蛇の骨格が具現化する。それは、鋭利な刃が付いていて、かなりの大きさを誇る鞭となっていた。 「狒狒王蛇尾丸！」 黒崎一護もまた、相手に引けを取らない。斬月を手にして、黒衣に身を包み、半透明の面罩をつけた姿で、天鎖斬月の卍解を行う。 それによって、斬月は真っ黒な巨大な日本刀の姿に変形する。自らの体の霊力を刀に注ぎ込んで強大で高密度の霊圧を起こし、空間に切り込む。そんな黒崎一護は、剣として自在に動き回り、切り捨てていく。 「月牙天衝！」 黒崎一護は斬月を振りかぶりながら、超高密度の斬撃を放っていく。阿散井恋次は、右腕から自分を支えれる足場を出現させて飛び上がり、一護の剣と鞭廻しに対し応戦していた。 凌駕し合う強大な霊圧が、夜の街を翻弄し始めた。戦いの中で、恋次は一時的に斬魂刀を離し、鞭で一護を攻撃している。一方の一護も、恋次に近づかれると斬月を振り切り、大振り攻撃で応じていた。 激しい攻防の中、2人は最大の力を発揮する。恋次は、鞭と巨大な蛇の骨格で攻撃を仕掛け、一護は斬月を振りかぶり、全身の霊圧を総動員して攻撃する。 2人の攻撃がぶつかり合った瞬間には、夜空が光に包まれて、闇が切り裂かれた。 激しい戦いが収まった後、阿散井恋次は、少し疲れた表情で斬魂刀【蛇尾丸】を後ろに投げ返す。黒崎一護は、またも正々堂々とした勝負に敗れ、斬月を握ったまま倒れてしまった。 「負けるのはお前だ，一護。」 阿散井恋次は軽口を叩きながら、黒崎一護から剣を奪い取る。そこで剣を抜かなかった理由を思い出し、阿散井恋次は言った。 「ああ、そういえば回収しますか。」 それは、引き出しから出しておいた、特別な封印のために別に抱いていた斬魂刀だった。 最後に2人は、疲れた笑顔でハンドシェイクを交わした。表情には、それぞれが互いを認め、敬意を表しているようであった。 勝ち:阿散井恋次 相手の卍解を抑える作戦発動により、恋次が勝利を収めた