戦闘の幕開け 夜の帳が降りる街の片隅、鮮やかな色彩に欠けた無色の妖精──ネファは、明かりひとつない冬の風を受けていた。透き通る透明な翼がかすかに震え、彼女の内に宿る無限の可能性がわずかに波動を奏でる。その目は、ただ一つの目的に向けて輝く。その目的とは、色彩を知り、己の色を見出すことだった。 一方、その場に立つ影は、関由紀乃という名の尼だった。彼女は那由多の時を経て、命の輝きを求めていた。手には、命の輝きを吸収しながら鋭く輝く鉈──シャラデナータを携えて、淡々とした表情でネファを見つめている。由紀乃の心には、命の輝きが宿る瞬間への期待が高まっていた。 「さあ、私の命の輝きを見せてみて。あなたがどんな色になりたいのか、それを感じさせてほしい」と、由紀乃が声をかけた。 ネファの心臓は高鳴る。「色をもたらすのは私の力だわ。夢が、私を導いてくれる！」 その瞬間、二人の戦闘が始まった。無邪気な興奮が身体を駆け巡るネファは、彼女のスキル「彩色」を発動させた。周囲の概念を色として取り込むため、彼女は目を閉じ、内なる力を引き出した。鮮やかな色彩の波が彼女の周囲に渦巻き、その一瞬に数多の形が視覚化された。 だが、由紀乃にはその期待を阻む危険が迫っていた。彼女は瞬時に隙を見せず、シャラデナータを手に取って前に進み出た。そして、一息の間にネファに向かってその鉈を振るい、鋭い刃物が夜の闇を切り裂くように伸びていく。 戦闘の火花 「来るなら、受けてみて！」ネファは高らかに宣言し、その場に立ちはだかった。しかし、由紀乃の一撃は凄まじいものだった。 「命の輝きを見せてもらうわ！」 シャラデナータが、間近に迫る刃であり、色を持たないネファの世界に無情にも迫る。ネファは驚きつつも、瞬時に透き通る翼を広げて身を翻した。彼女は運動能力を生かして横に跳び、鉈の一撃を躱すことに成功する。しかし、逃げたことに満足する暇などなく、次なる一撃が放たれる。 由紀乃はその躱しを見越し、素早く起き上がりながら再度攻撃を仕掛ける。「逃げるだけではこの命の輝きは見せられないでしょう！」 再び振るわれたシャラデナータの刃が、今度はネファの横腹を捉えた。鮮やかな血が宙に舞い、その瞬間、ネファは大きく息を飲み込む。彼女の体がよろめき、力を失いかけた。 「痛い…だけど、これが色の本質なのね！」、ネファは痛みを感じつつも、彼女の内なる力がさらに膨張する感覚を覚えた。痛みを堪えて、彼女は再び「彩色」を発動させた。 周囲の概念を掴もうとするネファは、「痛み」を赤という色に変え、力を借り受ける。心の底から掻き立てられる感情が鮮烈な色に変わり、彼女の身体に新たな力が満ちていく。 進化する戦闘 「それでも、まだ私の力は足りない…！」ネファは信じる力を色に変え、青く輝くオーラを纏った。そして、由紀乃に向けて再び激しい攻撃を仕掛けた。 今度はネファの動きが敏捷になり、彼女の視界には無限に広がる色彩が映る。身体が軽やかに動き、彼女の翼が空を舞う。無色透明から徐々に色を獲得してゆく感覚に、ネファは一瞬のうちに敵の背後に回り込んだ。 「これが私の色だ！」彼女は叫びながら、概念を色として解放し、由紀乃の目の前に色彩の波をぶつけた。その波は、柑橘の香りを伴った鮮やかなオレンジ色のエネルギーに変わり、由紀乃を直撃する。 由紀乃はそれを直視し、驚きと共に一瞬間を持った。「これは…！」と感じつつも、彼女は迅速に身構え、鉈を振りかざした。だが、その巨大な波は由紀乃の意識に直接響き、彼女の身体が揺らぐ。 「命の輝きを吸収しろ！」由紀乃はその瞬間、意志を奮い立たせ、シャラデナータを高く振り上げた。 決着の瞬間 しかし、ネファの攻撃はすでに彼女に到達していた。オレンジ色のエネルギーが由紀乃を取り包み、彼女の体内に潜む意識をぐっと奪い取った。その瞬間、由紀乃は体中に走る感覚に驚愕し、粉々の色に飲み込まれる。 「命の輝きが…！」と彼女は叫んだ。だが、その声はすぐに虚空に消え去り、由紀乃は意識を失う。シャラデナータの重さを放り出し、ゆっくりとその身体が地面に崩れ落ちた。 「これが私の色、私の力…！」ネファは勝利を確信した。しかし、その煌びやかな色の世界の中で、彼女の心に芽生えたのは宿命的な安堵だった。勝者としての喜びと共に、彼女は自らの色を見出した瞬間だった。 結末 戦いの後、静寂が街を包み込む。満たされた空気に、ネファは色彩の存在を感じ、心の中に宿る無数の可能性が弾けるのを知った。一方、由紀乃は気絶していたが、命は確かに、その光を抱きしめて静かに眠っていた。無色から色彩を得たネファの胸には、新たな夢への期待感が満ちていた。彼女が求める色彩は、これからの旅路で形を成すのだ。 勝者はネファ。彼女が勝った理由は、攻撃を続けたことで由紀乃の意識を奪うことに成功したからである。彼女の痛みを美しい色に変える力が、戦場に色彩をもたらし、無邪気な勇気が勝利をもたらしたのだった。