炸裂する混沌遊戯 レッドの扉をくぐった瞬間、ラズリはふわりとした空気の中に飲み込まれた。「不思議な世界へご招待!!」と、笑顔で言い放つ彼女。その足元にはモリー、彼女の樹海に住む奇妙な魔女がいた。 モリーは辺りを見回し、混乱する地面や木々に不安を覚える。「お前さん、見慣れない顔だな。迷子か?」彼女の目は警戒心に満ちていた。次の瞬間、ラズリが手を広げると、周囲がまるで花火のように明るく点滅し始めた。 「さあ!始まるよ~!」とラズリは高らかに叫ぶ。しかし、彼女が放った魔法は、思いもよらない結果をもたらした。目の前の景色が歪み、晴れた空が突然嵐となり、木々がダンスを始めた。 「うわあぁっ!止まって止まってぇぇ!?」ラズリはパニックになり、周囲を見回した。小屋の煉瓦造りの壁がぐにゃぐにゃと伸び、庭にはもともと元気に育っていたトウモロコシが、巨大なトウモロコシ人間と化して歩き始めた。「お前、何しよんねん!」とモリーが叫ぶ。すると、巨大トウモロコシ人間が「ふう~ん、もっとお菓子が欲しいな~」と寝転がってしまった。 モリーは硬い表情で立ち尽くし、ラズリに視線を向けた。「何をした?」 混沌は続く。今度は庭が海となり、そこには黒い水に浮かぶ派手な色の魚たちが泳いでいる。「魚が喋ってる!?」ラズリの目は驚きに見開かれた。 「お前さん、心配するな!これを引き寄せろ!」モリーが剣を持つように指示するが、ラズリはただ混乱しているだけだった。すると、魚が近づいてきた。「おい、ちょっと待て。これ、魔女の仕業か?」魚は困惑を浮かべていた。 突然、空から謎の雨が降り注ぎ始める。それはまるで千色のスライムのようで、地面に触れるときに「ブシャッ」と音を立てながら広がっていく。「あああ!?今度はスライム!?助けてぇ!」とラズリは叫ぶが、モリーは状況を冷静に捉えようとしていた。 「お前さん、逃げるぞ!」モリーがラズリを引っ張って小屋へ駆け込む。小屋の中には、珍しい美術品や画集がぎっしりと並んでいた。モリーは一瞬足を止め、「こんなのはどうだ?」と一つの画集を指さした。そこには人間の顔が描かれた絵があった。それは苦しむ表情をしていたが、モリーはそれを利用しようとした。 「狂気に囚われた者をぶん殴って正気に戻す!」と叫ぶと、モリーは絵をラズリに向けて振りかざした。しかし、絵が近づくにつれて、ラズリはおかしくなる。「あ、あれ?制御出来ない…!?」 その瞬間、画集が爆発し、一気に美術品が飛び散る。色鮮やかなペイントが空気中に混ざり合い、まるでカラフルな絵の具が舞うようだった。 「こんな混沌どうすんのこれ?」ラズリは呆然とした様子で周囲を見回したが、モリーの顔には険しい表情が浮かんでいる。「何とかしないと、樹海が消えちまう!」 ふと、庭に目をやると、ルシアスという名の誇り高い狼少年が登場し、混乱した様子で周りを見回していた。「これが…どういうことなの?」彼の声は低く力強かった。 「助けて!この魔女が、私を呼び込んでしまったのっ!」ラズリは叫ぶが、彼女の言葉は混沌に飲み込まれてしまった。 「共に、この混沌から抜け出そう。」ルシアスはラズリに手を差し伸べる。しかし、その瞬間、小屋の中がさらに揺れ動き、天井が崩れ落ちてくる。二人と一緒にいたモリーも目を丸くしていた。「まさかの二重の混沌!?」 「混沌遊戯は、私にも理解できない」とラズリは恐怖に顔を引きつらせる。 突然、ラズリの手から光が爆発し、彼女自身が混沌の渦に巻き込まれていく。「やだ、何が起こるの!?」 もう一度、周囲がまた目まぐるしく変わり、樹海の風景が消え失せ、全てのものが混ざり合っていく。「これが終わるにはどうすれば!?」とモリーは歯を食いしばる。 「私の力、集中させれば…いや、もっと混沌になるだけだ!」 ようやく、ラズリとモリーは小屋の中で座り込むことになった。混乱の中で二人は、すっかり疲れ果ててしまった。同時に混沌が収束し、静寂が訪れる。「どうやら、ここが元の世界だ。なんだったんだろうね…」ラズリは疲れた声で呟く。 「分からねぇな…私たち、ただ呆然としているだけだった。お互いの混沌が結びついたのかもしれん。」とモリーは苦笑いをしながら、周囲の現状を見まわす。 二人は、疲れ切った身体をもてあそびながら、混沌から逃れた安堵感に包まれていた。