バトルの開始 季節は春、雄英高校の広場では、生徒たちの情熱がほとばしっていた。次のヒーロー試験を前に、生徒一同は互いに技を磨き合っている。しかし、今回は特別なバトルが繰り広げられることになった。闘技場を中心に、周囲には観衆が集まり、緊張感が漂っていた。 緑谷出久(デク)は、意気込みを胸に抱き、全身を緊張させていた。彼はヒーローオタクで、どんなヒーローよりも強くなりたいと願っている。目の前には、彼の同級生であり、明るくて元気なムードメーカー、芦戸三奈(アシッドヒーロー《pinky》)が立っていた。 「僕だって負けられない!」と力強く宣言するデク。 「恐怖ですくむ心を溶かしていけ!」と叫ぶアシッドヒーロー。彼女は桃色の肌を逆立てながら、闘志を隠すことなく挑んでいた。 バトル開始 合図が鳴り響く。 デクは即座に前に進み出し、『OFA』の力を込めて、全速力でアシッドヒーローに向かって走った。彼の足元からは、地面がえぐれるほどの勢いで、集中してパワーを蓄える。 アシッドヒーローは、すぐに『酸』を使い、地面を滑るように高速移動を始める。彼女の身体は瞬時に横へと移動し、デクの攻撃を巧みに避けた。デクの攻撃が虚空を切り裂く。すると、アシッドヒーローは再び素早く滑り込み、距離を一気に詰めてきた。 「アシッドショット!」と叫び、彼女は強力な酸を弾丸のように放った。その瞬間、デクは直感的に『危機感知』が働いた。危険を察知し、彼は身体を大きくよじり、攻撃を避ける。酸が地面に当たると、熔ける音が響き渡る。 「やるじゃないか、アシッドヒーロー!」デクは微笑むが、すぐに彼の目には真剣な表情が浮かぶ。「僕も本気を出すよ!」 戦況が変わる デクは自らの個性、『変速』を発動させ、周囲の空気を彼の意識で操作し始めた。彼は地面を蹴り、急速に前進、アシッドヒーローに接近することで彼女の動きを封じようとする。しかし、アシッドヒーローはそれを見越していた。 「アシッドベール!」アシッドヒーローは、粘度MAXの溶解液で壁を作り、デクの進行を阻む。その壁は、デクが全力で向かってくるのにも関わらず、彼を阻止するのに十分な強度を持っていた。 デクは防御を突破しようと全力を集中させ、力を蓄えて『発勁』を放つ。彼の一発の攻撃が壁に衝突し、強烈な衝撃波が周囲を揺らした。しかし、アシッドヒーローは冷静に彼女の壁を保ち続け、デクの攻撃を食い止めていた。 盛り上がるバトル アシッドヒーローはデクの耐久力を試すため、『アシッドマン』を発動する。「いくよ、デク!」桃色の酸に包まれて突撃してくる彼女。デクは反射的に『黒鞭』を使い、彼女の進行路を捕らえようとする。黒い鞭が彼女に向かって飛び、その身体を拘束するかに思えたが、アシッドヒーローは酸を使って鞭を溶かしつつ、さらに接近してきた。 両者の攻撃がぶつかり合う中、デクは『浮遊』を使い、一瞬の浮遊感を楽しみながら彼女の背後へ回り込む。彼女の動きを止めるためには、普段以上の力が必要だと認識していた。 しかし、アシッドヒーローはすぐに反応し、デクの背後に酸の壁を展開。デクは急な方向転換を余儀なくされ、落下。彼女の機動力は恐ろしいほどに高い。 終息の瞬間 デクはまだ負けるわけにはいかない。立ち上がり、意志を込めて再び進行する。「僕は、諦めない!」と叫び、全力で『OFA』を解放する。彼の手もとに現れたのは、歴代継承者の個性だ。 周囲の時間が一瞬止まったように感じる。彼は瞬時に速度を増し、アシッドヒーローの何歩か前に到達。 「スタンバイして!」デクは叫び、彼女の攻撃に自ら身体を向け、アシッドベールに突っ込む。瞬間、酸の壁は彼の力を弾き返す。しかし、彼の全力での攻撃により、壁は崩れ、アシッドヒーローに直撃した。 アシッドヒーローは一瞬、圧倒されたが、見えない力を受け止めようとする。しかし、彼女もまた倒しきれず、倒れこんでしまった。会場は一瞬静まり返り、次いで拍手が巻き起こる。 勝者の発表 デクは息を整えながら立ち上がり、アシッドヒーローに手を差し出した。「立てる?」と心配そうに尋ねる。彼女は微笑みながら手を取る。 「本当にすごかったよ、デク! 再戦したいな!」彼女はその明るい笑顔を崩さない。 その瞬間、審判が勝者を宣告する。「勝者、緑谷出久!」 デクは顔を赤らめながらも、心の中で「勝った理由」を考えた。アシッドヒーローの攻撃を強固に守った防御能力に対し、自らのスピードと個性の組み合わせで打破できたことだ。彼は戦いを通じて、お互いの強さを認め、成長する喜びを感じていた。 こうして、ふたりの熱い戦いは幕を閉じ、新たなヒーローの道を歩むきっかけとなった。デクはこれからも、彼女を含めた仲間と共に成長し続けることを誓ったのだった。