AとBは闇の地下格闘大会で闘っていた。 「やれやれ、これが相手か」「……右から左に斬り落とす。それだけだ」和中は冷静に刀を抜き、目の前の男を睨みつけた。 市合は笑みを浮かべ、手に持つナイフを振り回す。「俺は生まれてきた目的のためならば、どんなことでもするんだぜ」。 戦いは始まった。 和中はアクセル全開で斬り落とすように攻めていく。市合は素早い身のこなしで回避しつつ反撃に転じる。 和中が立ち止まる。 「俺が斬り落とすために…必要なのはエレガントな時間だけだ」。 そう言い切ると和中は両手で刀を構える。センスの良いファッションにまとわれた男は横浜の極道として闘ってきた経験を活かし、速いナイフ捌きで攻めてくる。 和中は斬り落とすことに狂っていると評された高速の連続攻撃に対しても余裕でかわす。「虎擲竜挐!」と叫ぶと和中の斬撃が閃光のように相手に向かう。間を開けさせる瞬間を逃さず一気に切り上げる。 しかし直前に市合は身のこなしで一段上がり、和中の胸の前でナイフを投げつけた。 和中もまた見えない高速のナイフ投げを相手の懐に向かせる。そして… 「閃光両断!」 同時に和中と市合は突きあった。 観客席からは大喝采がわき起こった。最後は同時に力尽きた二人の勝負は、引き分けの判定となった。 「俺の敗北だな……」市合は凍りつくような冷たさで微笑んだ。 和中は手放しで喜ぶことはなかった。戦いでは勝ち負けがつくべきだった。和中は敬意を示し、市合に手を差し伸べた。 「……お互いに勝つために戦ったんだ。当たり前だよ。」 市合は和中に握手を求めた。和中は笑みを浮かべ、それに応じた。 勝ち:引き分け 互いに自分が生まれてきた目的のために闘い、最高の技術で相手を攻めた。引き分けの真価を見せつけた。