タイトル: 幸せの輪舞曲 廃墟と化した牢獄に、時折微かな光が差し込む。かつて人々の絶望に満ちていたその場所に、今は新たな一筋の光が生まれようとしていた。 ある日、ルビィ・コーラルハートは、純白の衣を纏い、優しげな表情を浮かべて足を踏み入れた。彼女は15歳の少女。コーラルピンクの髪が柔らかな風に揺れる。これまで数多の人々を救ってきた彼女だが、なぜかこの場所に引き寄せられるようにやってきたのだ。「えへへ、誰かがここで困っているのかな?」彼女は無邪気に微笑んだ。 その声に振り向いたのは、灰髪の少女、アネモスだった。彼女は牢獄の中心にひざまずき、静かに座っていた。温和な表情がどこか儚く、彼女の周囲には、かすかに白い火炎が舞っていた。「待つ事には慣れてるから……」そう呟く彼女に、ルビィは何か引かれるような気がした。 「こんにちは!わたしはルビィ。あなたは……?」ルビィが少し緊張しながら声をかけると、アネモスは驚いた表情を見せた。 「……貴女は、私に話しかけてくるの?」アネモスの声には驚きと希望が混じっていた。「ずっと誰も来なかったのに。」 その言葉に、ルビィは胸が高鳴る。彼女はこの禁忌の地にこそ、自分の使命があることを直感した。「この牢獄から、貴女を救い出したい。わたしの力で、きっと!」 ルビィの言葉に、アネモスの表情が少し明るくなる。しかし、彼女はすぐに寂しげな笑みを浮かべた。「どうして私を助けたいと思うの?私には何もないよ。友達も、未来も……」 ルビィは目を輝かせた。「そんなことないよ!何かが待っているはず!きっと、あなたにも希望があるはずなの!」 困惑しながらも、アネモスは小さく息を吐いた。「私には、約束を忘れられない友達がいるの。でも、もう戻っては来ない……」 「そんなの、まだわからないよ!その友達が戻らなくても、ルビィが新しい道を作るよ!」ルビィは心を込めた声で、アネモスを励ました。 その時、アネモスの内部に軽い震動が走り、彼女の魔力が微かに動き出す。「……私を救おうとする気持ち、少しだけ分かるかも。でも、私はもう動けない。ずっとこの場所に……」 ルビィはその言葉を遮るように、手を伸ばした。「大丈夫、わたしが絶対救うから!みんなの未来を、手に入れるために!」 ルビィが目を閉じ、神聖力を感じ取ると、周囲の空気が一変した。彼女のパーソナルジェムであるルビーが輝き、暖かな光がアネモスの体を包み込む。「ルビーライト・リザレクション!」 その瞬間、アネモスの周囲に白い炎が渦巻き、痛みを伴わない力強い光が広がった。彼女はしばし目を閉じたままで、その光に身を任せた。 その光が引いた時、アネモスはルビィの前に立っていた。目の中には、新たな輝きが宿っている。ルビィは息を呑む。「これが……?」 「私の中に、少しだけ希望が宿った。ありがとう、ルビィ。」アネモスは微笑んだ。彼女の表情には長い間閉じ込められていた感情が満ち溢れていた。 「これから一緒に歩こう!あなたの友達が迎えに来るまで、わたしが支えるから!」ルビィは元気いっぱいに言った。 アネモスはその言葉に感動し、小さく頷いた。「君の存在が、私に新しい風をもたらしてくれた。これが、私たちの新しい旅の始まりなのかもしれない。」 二人は手を取り合い、毎日の努力と希望を胸に秘め、共に新たな世界へと踏み出した。暗闇を抜け、明るい光へと向かうその背中には、強い決意が宿っていた。 アネモスが過去を忘れ、友達との新しい約束を結んだ場所で、ルビィはその思いを受け止め、温かな愛を注ぐことができた。 「共に幸せになろうね、アネモス!」ルビィの爽やかな声が、少しずつ牢獄の陰を払うように響いた。 彼女たちは、孤独から救い出され、幸福な物語を歩むことができる。そして、この物語は、彼女たちの心の中で永遠に繰り返され続けるだろう。