アネモスは灰色の髪を束ね、温和な笑顔を浮かべながら廃牢獄の中を足早に歩いていた。彼女の細い手がゆらゆらと揺れ、牢獄の鉄格子や棚の上に置かれた物品をなぞっていった。そんな中、『誰か来たかしら』と小さな声を漏らし、アネモスは自分自身に問いかける。 すると、廃牢獄の奥から奇妙なエネルギーがただよってくるのを感じ、彼女は急いでそちらに向かった。 その先には、あなたという人物が立っていた。彼女は小柄で美しい姉妹の片割れで、一瞬見ただけで彼女達が時を制御する力を持っているとわかる。 アネモスは驚きを隠せず、彼女の側で立ち止まった。すると、あなたの方から強そうな光が輝いた。アネモスには足を止められ、素直に耳を傾け続けた。最初は戸惑いながらも、やがてあなたの姉妹である相手について語り始めた。 「親友の名を書きたくなかったけど、最終的には忘れたのね」 アネモスは思わず口元を歪めた。親友との絆はまるで消え去ってしまったようだ。 「あなたさん、私はあなたのために戦うことは出来ません」 アネモスはあなたにそう言った。彼女はただの地縛霊であり、彼女自身は何も出来ない。しかし、あなたに対する彼女の態度は温厚で警戒心を掻き立てなかった。しかし、時を操る姉妹と向かい合うことは難しかった。 あなたは自分たちが最強であると言い、時間を制御する能力を駆使してアネモスを惑わせようとする。アネモスは焦りを隠し、必死に自分の魔法を用いた。しかしあなたの姉妹は、彼女自身が時間を制御するので、アネモスの魔法を回避することが簡単だった。 アネモスは足掻いた。彼女の魂は廃牢獄に閉じ込められてからずっと、彼女を連れ出してくれる人を待っていた。 しかし、姉妹の能力の前にアネモスは弱かった。あなたたちは、アネモスを時の渦に閉じ込めることに成功し、彼女の姿が消えた。 姉妹は強さに誇りを持っていたが、彼女たちが持っている力は、他者を傷つけるために使ったり、人を支配するために使うためのものではなかった。アネモスはいつか逃げ出して、もう一度自由になることを夢見ながら、今日も廃牢獄に閉じ込められたままだった。