ある日の放課後、大罪生徒会の部室には、熊埜御堂美咲が一人で居残り、次の日の会計の準備をしていた。しかし、突然部室のドアが閉まり、周りが静かになると、視界の隅に小さな影がカサカサと動くのが見えた。 「ふぁっ！？何か動いた！」美咲は慌てて椅子から立ち上がり、目を凝らした。そこには、真っ黒な体に艶やかな羽を持つクロゴキブリが一匹、ゆっくりと歩き回っている。この小さな生き物は、全長8センチほどの大きさで、恐怖の象徴とも言える存在だった。その6本のトゲのような脚が床を叩く音は、「カサカサ」と耳に心地よく、しかしその正体は明らかに不気味だった。 美咲はその光景に目を奪われ、「なんでぇ！？こんなところにゴキブリが！？」と呟いた。しかし、彼女の警戒にも関わらず、クロゴキブリは地面をすばやく横切り、その光沢のある体をさりげなく光らせた。 「お、おい！君は何をしているの！ここは私たちの部室なんだから！」美咲は勇気を振り絞って、ゴキブリに向かって声をかけた。しかし、もちろんクロゴキブリは答えることも、思考することもできない。ただ、無心で動き回るばかりだ。 美咲の周りには、すでに数匹のゴキブリが潜んでいることに気づいていない。彼女の心に恐怖が少しずつ広がっていく。「ど、どこから来たの！？こんなにたくさん…！」彼女は思わず後ずさりした。 その時、不意に、動揺した美咲の声が響いた。「他の生徒たちが来る前に、このゴキブリをどうにかしないと…」そこで美咲は、ふと「彼らの生態って、興味深いかも？」という天然ボケ発想に取り憑かれ、見たままの感動を視覚に映し出してしまった。 「ちょっと待って！君たち、なんでこんなところにいるの？」彼女はゴキブリに問いかけるが、もちろんその反応はない。しかし、その周囲にはまさに同じような姿のゴキブリが数百匹隠れているという事実を知らない彼女は、次第に興奮を覚え始めた。「これはまるで小さなペットショップみたい！」 その時、突然、ドアを開けて入ってきたクラスメートが、美咲の姿を見て一瞬凍りついた。「美咲、何してるの!? そのゴキブリ、殺さなくていいの…？」彼は目を白黒させて、思わず後ろに下がった。 「え、これ？あ、なんでぇ！？あなたもゴキブリが見えるの！？」美咲は驚き、そのままクラスメートに向かって指を指した。その勢いで、ゴキブリはさらに逃げ回り、彼女の周りに集まってきた。 「ちょっと、美咲！たくさんいるじゃん。それ、やばくない？」彼は困惑し、慌ててスマホを取り出し、「こんな時どうするんだ！」とGoogle検索を始めた。 「えっ、なんでそんなことするの！私はゴキブリたちとお友達になりたいの！」美咲の発言に、クラスメートは混乱を極めた。「友達になってどうするつもりなんだー！」 その瞬間、ふと美咲は思い出した。「あ、私、ゴキブリを捕まえる道具、持ってた！それで捕まえよう！」彼女は猛然と部室の奥の方を探し始めた。 「待って！楽器のケースみたいなの出てきたけど、捕まえられるのそれ！？」彼はあきれ顔で美咲を見つめる。 「え、知らなかった！これでスイッチを押せば…あ！捕まった！さすが私のクラスのアイディア！」と興奮する美咲。ところが、蓋を開いてみると、そこに入っていたのはゴキブリではなく、何とカラフルな鉛筆たちだった。 クラスメートは思わず笑い、「美咲、これは捕まってないよ！」美咲は一瞬呆気に取られた後、「あ、そうだった、これ鉛筆か…」と照れ笑いした。 そんな中、突如としてもう一人の生徒が入ってきた。「あれ、何をしているの？美咲、また何か余計なことを…？」それは大罪生徒会の副会長、冷静な性格の面持ちでやってきた。 「えーっと、ゴキブリがいて、でも友達になりたくて…！」美咲は必死に説明し始める。副会長は戸惑いながらも、「そういう状況は普通は避けるべきだと思うけど…」 その瞬間、カサカサと音を立てながら、周りに隠れていたゴキブリたちが一斉に彼らの元に集まった。副会長の顔が青ざめる。「う…うわぁ！これ、どうするの！？美咲、直ちに外に出して！」 美咲はすぐにその場から掛け声を掛け、「ここは私が責任を持って友達になるから、大丈夫！」と叫んだ。彼女は素早くドアを開けて、部室から逃げ出しながら、「またね！」と言い残す。 「待て、そのままにしちゃダメだ！」副会長は大慌てで後を追いかけた。しかし、いつの間にか部室には数百匹のゴキブリが残ったままだった…。 こうして、美咲の天然ボケな行動によって、部室は一時的な混乱に包まれたが、彼女の明るさとコミュニケーション能力によって、周りは笑い合う場面へと変わっていった。この出来事は、彼女にとっても周りの生徒にとっても、貴重な思い出となったのだった。