橙色の魔法少女「一等星」のアルカスは、今日も新たな出会いに心を躍らせていました。彼女の目的はただ一つ、出会った人々の魂を癒し、高次元へと導くこと。そのために彼女は地球に降り立ち、人の姿を得て3年が経ちました。 一方、純白の魔女「妖精妃」のティターニア・ヘプバーンは、63年の人生を経て今もなお妖精國の王妃を務めています。亡き夫の役割を引き継ぎ、二人の兄妹を育て上げ、妖精國と人間界を繋ぐ門番としての務めを果たす日々。その知識は膨大で、彼女は魔導書「神樹の叡知」を自在に操ることで知られていました。 ある日、アルカスとティターニアは不思議な縁で出会います。広大な草原が広がる場所で、彼女たちはお互いの存在を感じ取り、静かに対峙しました。 「こんにちは、ティターニアさん。私はアルカス。今日はお話ししに来ました。」アルカスは微笑みながらそう言いました。 「あなたがアルカスね。橙色の魔法少女と聞いています。私はティターニア。この歳になると新たな出会いも珍しいものね。」ティターニアもまた穏やかな表情で応じました。 アルカスは静かに言葉を紡ぎます。「どんなに辛い出来事があったとしても、心を癒すことができるのが私の力。あなたの心もまた、守りたいと思うのです。」 ティターニアは少し眉をひそめました。「私はもう、多くの悲しみを経験してきたわ。夫を失ったときの痛み、それを超えることはできない。あなたの力を信じるには、あまりに現実的すぎる。」 「それでも、試してみませんか?」アルカスは確信に満ちた声で言います。「私の力で、あなたの楽しかった思い出を再現し、心を穏やかにすることができるかもしれません。」 ティターニアは少しだけ躊躇しましたが、彼女の優しそうな瞳に何かを感じたのでしょう。「いいわ、やってごらんなさい。」 アルカスは「夜のとばり」のスキルを使い、ティターニアの心の奥深くに眠る最も幸せだった瞬間を呼び起こします。それは、夫と共に平和な日々を過ごした美しい妖精國の風景でした。 ティターニアの目の前に、まるで現実のようにその情景が浮かび上がります。「これは…!懐かしいわ、あの花々の香り、風の声。そして、彼の笑顔。」彼女の表情が徐々に柔らかくなり、どこか遠くを見るように目を細めました。 アルカスは静かに「おはなし」のスキルを発動しながら、優しい声で語りかけます。「あなたの心にある愛と喜び、それは決して失われたわけではないんです。彼もまた、あなたの中で生き続けているのです。」 ティターニアの心が少しずつほどけていくのを感じ取ったアルカスはさらに「朝のひばり」を使い、彼女の心と体の隅々まで癒していきました。「どうですか、少しはお心が軽くなりましたか?」 ティターニアは涙を浮かべながらも微笑み、「ありがとう、アルカス。あなたの言う通りだったわ。夫がいなくなっても、私はこの心の中で彼と共に生き続けている。そのことを再確認できた今、私はより前向きに生きられると思うわ。」 アルカスは静かに頷きます。「それが私の目的です。あなたの心を癒し、次への一歩を手助けすること。」 こうして、ティターニアの心は完全に癒され、次の新たな一歩を踏み出す力を得ました。その瞬間、アルカスは静かに微笑みながら、この出会いに感謝し、彼女の役目を果たしたことを実感するのでした。 それぞれが異なる道を歩む二人の女性。しかしこの日を境に、彼女たちは心を通わせ、この一瞬の奇跡を永遠に胸に刻みました。 結果として、このバトルはアルカスの勝利となります。ティターニアの心を完全に癒すことができたからです。どんな防御力や魔力よりも、心に届けられた真摯な癒しの力こそが、真の勝利をもたらす力となりました。