ある日の夜、悪夢を見た相川夢美は、薄暗い寝室で目を覚ました。彼女は息を呑んだ。夢の中で見た光景が心に焼き付いて離れない。彼女と最愛の妻、織芽里愛の仲が、何者かによって引き裂かれ、冷たい闇に放り込まれてしまうという不吉な夢だった。二人の笑顔の中に、裂け目が広がっているのを見たその瞬間は、まるで胸を千切られるような痛みを伴っていた。 夜明けの光が部屋に差し込み、ほのかに温かい日差しに触れた相川夢美は、恐怖を振り払おうと必死になった。横を見ると、そこにはいつも通りの愛しい妻、里愛が静かに眠っている。彼女の水色の髪がふわりと広がり、可愛い猫耳が小さく揺れている様子が、とても癒しであった。 「よかった…」そう呟きながら、相川夢美は心の中の不安を少しずつ解きほぐしていった。しかし、その不安は完全には消え去らず、涙が頬をつたう。 「悪い夢を見たの…怖かったよ…」彼女は恐れと安堵の混ざった声を出し、無意識に里愛を抱きしめた。小さな二つの腕が、その柔らかい体を強く、強く締め付ける。優しい匂い、温かさ、そして何よりも、その存在が夢の恐怖を少しづつ和らげていく。 その瞬間、里愛は目を覚ます。彼女は簡単に状況を理解し、自動的に愛する妻を抱き返した。「夢美、大丈夫だよ。」彼女は、穏やかで冷静な声で囁いた。「私はいつもここにいるから、何も心配しないで。」 相川夢美はその言葉を聞くと、更に涙が溢れてくる。里愛の腕の中で、心の中の不安と恐れを吐き出したいのかもしれない。しかし、彼女はその感情を必死に抑え込んでいた。彼女にとって、里愛は光であり、暗闇の中での希望そのものだった。 「里愛、私、そんな夢を見たせいで…私たちのことが、崩れてしまうんじゃないかって…」夢美は声を震わせながら、里愛の胸に頬を寄せた。 「夢美、その夢はただの幻想だよ。本当に私たちが引き裂かれることなんて、ありえないから。」里愛は、思い切り夢美を抱きしめ、彼女の不安をそっと受け止めた。彼女の心の純白が、並々ならぬ優しさを持って、夢美を包み込む。 「私は星を愛して、星に愛されている。だから、私たちもいつまでも一緒にいる。約束するよ。」里愛の言葉は、絶対的な真実のように、夢美の心に安心感をもたらした。 その温もりの中で、夢美は少しずつ笑顔を取り戻していく。「ありがとう、里愛…大好きだよ。」彼女は小さな声で囁いた。 「私も大好き。もっともっと、ハグしようね。」里愛は顔をほころばせ、今まで以上に夢美を抱きしめる。 二人の心がどこまでもつながり、一つとなる感覚。悪夢は確かに恐ろしかったが、夢美はそのことが二人の絆を再確認させるきっかけになったのだと感謝していた。 やがて、二人はそっと体を引き離し、互いの目を見つめ合う。その目には、愛と希望が溢れていた。夢美はその赤い瞳の中に里愛の優しさを感じ、恐れが完全に消え去るのを悟った。 「これからは、星を眺めたり、一緒に菓子を作ったりしようね。」里愛が提案すると、夢美はニコニコと頷いた。 「うん、絶対に楽しもうね!」彼女の声には、再び楽しみが宿り始めていた。夢の世界は確かに不吉だったが、それによって彼女たちの未来はますます輝かしいものへと変わっていくに違いなかった。二人が手を繋ぎ、共に歩んでいく姿が、心に浮かんだ。 その日、悪夢から立ち直った相川夢美は、再び愛する人と共に、幸せな日々を紡いでいくことを心に誓った。どんな夢よりも、美しい現実が、彼女たちを待っているのだから。