ある薄暗い遺跡の中、ふと浮かび上がる光の中、アイリスは魔導書の前に立っていた。炎のように燃え上がる霊的な波動が、静寂を破る。 「これが、伝説の魔導書……」アイリスは驚きの声をあげる。額に輝く第三の目から放たれる光が、魔導書を照らし出す。一筋の闇を拒むかのように、彼女のその目は知識と力を求める。 その瞬間、魔導書から放たれる神秘的なエネルギーが、アイリスの身体を包み込む。彼女はその内容を読み解こうとするが、簡単にはいかないことを承知していた。 「どうしよう……力を得たい。でも、これを理解するには、私にもっと深い知識が必要なのよね……」アイリスは心の中で葛藤する。新しい力を得るために、精一杯集中しようとする。 一方、遺跡の外には、多くの者が魔導書を求めて集まっていた。力を欲する者たちは、アイリスの姿を見上げている。彼らもまた知識を求め、全力で魔導書を読み解こうとしていた。 アイリスは意を決し、再度魔導書の内容に目を凝らす。すると、その知識の一端が彼女の中に流れ込むように感じられた。時間を停める神格を持つ彼女は、周囲の状況を気にすることなく、淡々と読み込んでいく。 しかし、その時、何かが変わった。魔導書の内容を読み解く途中で、彼女の心の中に生まれた不安が彼女を襲う。「この力、もし悪用されたら……」彼女の心配は現実のものとしてサッと彼女の思念に浸透した。 魔導書が持っている「現実改変」「世界創造」「時空制御」「万象操作」の力。それは絶対的な知識と力を与えるものであった。しかし、同時にそれは大災害を引き起こした過去の象徴でもあった。 その時、アイリスは神格の力を使い、思考を「破壊の魔眼」でクリアにした。彼女は頭の中の不安を破壊し、魔導書の内容に集中する。「こんな力、私が使うべきではない……自分を守るためだけに、他の人を傷つけるためには、使えない……」 遺跡外では、魔導書に手を伸ばす者たちが絶えず集まっていたが、アイリスはそれを拒んだ。彼女は周囲の波動を感じ取りながら、自身の選択をしたのである。 後日談。 アイリスは魔導書を読み解くことを諦め、戻って行った。彼女は、知識を持つことの重みを理解し、自らの神格を受け入れつつ、他者を傷つけない強さを身につけた。 今度は、力を欲する者たちに支配されないよう、彼女はその後も遺跡の外で再生の魔眼の力を使い、癒すことを選んだ。周囲の人々の痛みを癒し、彼らが力を求めて争うことがないように、愛と静寂を広げる存在となった。 結果として、魔導書の力は活かされることはなかったが、アイリスはその教訓を共に生きる者たちに伝え続けることを決心したのだった。彼女の選択は、他者を思いやるための新たな力に変わっていった。