夜の闇が深まる中、戦場には静寂が漂っていた。しかし、すぐにその静けさは壮絶な戦いの前触れであるかのように切り裂かれた。 巨大な化け物のような姿を持つ「第10の使徒」は、その身を歪ませながら、冷たい目を光らせて立ち尽くしていた。艶やかな黒色の外皮が月明かりに反射し、彼になんとも言えない威圧感を与えていた。 「こいつ、やっぱり凄まじい気配だ…」五条悟はその視線を無下限の力で受け止めつつ、背筋が凍る思いを抱いていた。彼の眼前には、無敵のATフィールドを身にまとった使徒が立ちはだかっている。 「無下限呪術…使うぞ。」五条は瞬時に攻撃の意思を固め、高まる呪力を感じながら、自身の技を繰り出そうとした。 まずは、「虚式・茈」を選択する。彼の言葉が風のように空気を切り裂き、次の瞬間、仮想の質量が高速で飛んでいった。 「茈！」と響く呪詞に合わせ、その一撃は渓谷を生むほどの威力を持ちながら、第10の使徒を直撃する。 しかし、ATフィールドの前にはそれも無力だった。猛烈な衝撃音が響き渡るが、使徒の姿は微動だにしない。 「無駄だ、無駄だ…！」と使徒が心の底から発する声が、無音の空間に響いていた。自らの防御能力を誇示しながら、手を伸ばし、「高威力レーザー」を五条に向かって放った。 光線が直線的に飛び、空気を焦がしていく。五条はその光の軌道を六眼で捉え、瞬時に避ける。 「来たな…」彼は軽やかに避けながら、笑みを浮かべる。「攻撃はできるが、当たらず。」 使徒はその反応を見て再び振り上げる。「捕食する…お前を、吸収して、もっと強くなる。」その言葉には、獲物を狙う恨みのような感情が込められていた。 「食わせるものか！」五条は冷静さを保ちながら、次の手を考える。彼は「赫」を唱えた。 「赫！」呪詞の響きと共に、赤い球体が生成され、彼の意のままに爆発させるために準備をする。 「今だ、行け！」五条はその球体を使徒の間合いへと放った。球体が爆発し、周囲を光と熱で包み込む。 使徒はATフィールドを張り直し、爆風を防ぐ。その様子に五条は眉をひそめた。「このままではいかん…」 使徒はその瞬間に高威力レーザーを再び発射する準備を始めていた。五条もそれに合わせて「蒼」の術式を詠唱する準備をする。 「蒼！」呪詞が響くと、青い球体が出現し、引き寄せる力を持つ。それが周囲の物質を引き寄せ、まるで俯瞰するような力を持つ。 使徒は動きにくそうにその青い球体を見つめ、「この引力が…」とつぶやく。その瞬間、彼は対抗手段としてコア防御を選択する。 「コア防御」と唱えながら、全てのステータスを130上昇させ、自己を守る。 五条はその様子を見て、笑みを消した。これまでの攻撃が効いていないことを察知する。「流石…だが、私はまだ諦めない。」 「領域展開、無量空処！」彼が宣言する。その瞬間、場の空気が変わり、敵の心を揺さぶる無限の情報が押し寄せる。 第10の使徒は一瞬硬直し、脳が混乱し始めた。「何だ、これは…！」その言葉は届かず、思考の渦に巻き込まれてゆく。 「今こそ、全力を尽くす。」五条はその隙を見逃さず、「黒閃」を狙う。 「行け、黒閃！」彼の一撃が炸裂すると、呪力の重みが重なり、爆風が吹き荒れる。 だが、使徒はまさにその瞬間に目を覚ました。不思議な強度を持つATフィールドが再構築され、次の瞬間、何とかその攻撃を耐え抜いた。 「まだだ…まだ、終わらせない。」使徒は再び攻撃に転じる。「突き刺し！」その一撃は、正確に五条を狙う。 彼はそれを察知して避けようとするが、事態は思うようには運ばない。巨大な化け物の腕が五条を襲い、彼の体を捕らえた。 「ぐっ…！」五条は捕らえられた状態で呪力を食い尽くされ、再度の打撃を受けるところだった。 しかし、そこには五条の持つ「反転術式」があった。彼は受けたダメージを糧にし、一瞬で回復しながら立て直す。 「これが最後だ…全力で行くぞ！」五条は再び、意を決して術式を放つ。 「赫、蒼、茈、全てを使う！」彼の威力が存分に開放され、四つの技が重なり合い、圧倒的なエネルギーが放出された。 「何だこの力は…！無下限呪術の極限！」第10の使徒はその威力に圧倒される。 と、その時、漆黒の闇が五条を包み込み、彼の力が放たれた刹那、次元を超えた衝撃が天地を引き裂いた。 使徒はその中で自らを捕食する準備をしたが、全ては間に合わなかった。そのエネルギーは一点に集まり、彼の防御を突き破る。 「終わりだ…！」力強い叫びが空を貫き、最強の特級呪術師五条悟の勝利を告げた。 静寂が戻り、戦場にはただ一つの影が残る。それは無限の情報に打ち勝った者、究極の力を持つ者であった。 「これが…本当の強さか…。」かつての使徒の姿はすでに、そこにはなかった。全ては、彼の吸収された力の一部となり、五条の前に立ち尽くしている。