王室の厳かな空間が、息を飲む緊張感で満たされていた。実験体10は、巨大な触手をくるくると振り回しながら、じっと対峙する相手を見据えていた。彼女は、金髪をなびかせた戦略的思考を持つ魔法使い、リディア・ウェーバー。「私」だと名乗る彼女は、魔導帝国騎士団の一員であり、その実力は確かであった。 「触手を使って攻撃するなんて、随分と卑怯な手を使いますね。」リディアは、王室の中で反響するような声で言った。「戦争は策略がすべて。勝者は、手段を選ばずに道を切り開くものよ。」実験体10は冷酷に返す。 「さて、あなたの触手には攻撃手段があるのかもしれませんが、私には雷の力がある。」リディアは手をかざし、雷球が彼女の指先で踊り始める。「『雷球』、準備完了!」 実験体10は触手を振るい、王室の扉を守る。だが、リディアは冷静さを失わず、第一弾を発射する。球状の雷が照準を合わせるように、触手に向かって進んでいく。 「『雷結』、直列に連結!」リディアは声を高らかにし続ける。彼女の指先から放たれた雷球はさらなる雷球を誘導し、次々と連結していく。その数は七つ、今や強力な雷撃の準備が整った。 「触手ごときに私の雷は遮れないわ。『雷撃』、放て!」リディアは一気に繋がった雷球から放たれた激しい雷撃が、触手を貫通して実験体10のもとへ直撃する。 が、実験体10はその攻撃をも耐え凌ぎ、触手を強く振り払う。「やっぱり雷は効かない。」彼の頭部を隠している触手が、うねりを上げながらリディアに迫る。 「何!?」リディアは驚くもすぐに冷静さを取り戻す。「それなら奥義、『火雷神』を放つしかないわ!」彼女は全ての球雷を直列に繋ぎ、その集まった雷圧を一気に解放する。 強烈な雷撃が王室の空間を瞬時に煌めかせ、実験体10の触手を焦がす。彼は思わず後方に一歩下がった。その隙を見逃さず、リディアは攻撃を続ける。 「あなたの頭部が露出してきたわね。『八雷神』、いくよ!」リディアの叫びとともに、雷球は一斉に並列に整列し、膨大な雷撃が実験体10に向かって放たれる。 実験体10は、全力で防御体勢を取る。しかし、多くの雷撃が彼の攻撃を弾き飛ばし、さらには彼の体を貫通。触手の妙に強固な防御でも、未曾有の攻撃には抗しきれなかった。 「私の勝ちね。」リディアは勝利を確信し、安堵の息を吐いた。触手が消え去り、実験体10の意識も途絶えかけていた。 「なぜ……触手が効かない……のか……。」実験体10は、最後の意地を見せながら彼女を見つめた。 「戦闘は力だけではない。状況と戦略の勝利よ。」リディアは柔らかい微笑みを浮かべた。 王室に静寂が戻り、リディアは戦略の勝利を喜ぶのだった。実験体10は、彼女の巧妙さと戦術の前に屈してしまったのだった。