「やっほー!よろしくねー♪」 リルフェルは晴れ渡る青空の下、蛇の道の出発地点で元気よく挨拶した。彼女の黒髪が風に揺れ、狼の耳がぴくぴくと動く。彼の心には冒険の期待が満ち溢れていた。目の前に広がる蛇の道は、まるで彼女を挑発するかのように延々と続いている。 「この道、どこまでも続いてるんだね。100万キロもあるなんて、果てしないなぁ。」彼女は自らの力を試すことにドキドキしながら、1歩目を踏み出した。足元の道は、蛇の背中を模していて、立体的な模様が続いている。不安もあるが、それ以上に好奇心が勝っていた。 最初の数キロは、軽やかな足取りで進んだ。リルフェルの体術を活かした動きは素早く、風を切るように走り抜けた。「がおー!食っちまうぞー!」と、彼女は空に向かって叫ぶ。明るい声が道を駆け抜け、景色が彼女を包み込む。周囲には何もない真っ白な世界。彼女の笑顔が、一際眩しく光っていた。 だが、彼女はすぐに疲労を感じ始めた。道は急に単調になり、同じような景色が続く。そう、蛇の道は心を試すような場所でもあった。「あれ、もうこんなに…?」と、彼女は振り返り、出発地点が遥か彼方に見えることに気づいた。ここで足踏みしてはいけない。リルフェルは再び走り出した。 ……しかし、時が経つにつれ、彼女の足も鈍り始める。ボーっとした目で道を見つめ、彼女はついに立ち止まった。「うぅ、もうちょっとだと思ったのに…」心の中で悪戯心がもぞもぞ動き出す。「相手を翻弄するのが得意だって言ったけど、これはさすがに厳しいなぁ!」 時折、リルフェルは小さな休憩を挟み、雲の下を覗き込んでみる。「地獄ってどんなところなんだろう、怖いなぁ。でも、落ちちゃったらもう戻れないんだよね…」普段は悪戯を楽しむ彼女も、この道では余計なことを考えてしまう。道幅が狭く、手すりもない。まさに「落ちれば最期」と言った感じだった。 「うぅ、もう無理かも…」リルフェルは涙目になりながら、再び走り始めた。残りの距離はまだまだ途方もない。最初は元気いっぱいに計測したけれど、今やもう挫折感しかなかった。 経過した時間は数時間。最初の出発地点からおそらく数十キロを進んだだろう。しかし、道の長さに加え、彼女の体力が次第に枯渇していく。残存距離は具体的には99万キロを下回ったが、どれだけ進んだかすら記憶が曖昧になってくる。 「やぁ、リルフェル。楽しんでる?」後ろから、静かな声が聞こえた気がした。振り向いても誰の姿も見当たらない。ただ、遠くの雲の影が、彼女を揺さぶるように見えた。 「もう少し、もう少しだけ頑張りたい!」リルフェルは自分にそう言い聞かせる。しかし、体力は限界に達し、次の数歩が途方もなく重く感じられた。「足が、動かない…!」 そして、ついにリルフェルは道の真ん中で立ち止まり、息を切らしながら天を仰ぎ見た。「私、まだ100万キロの道のりを走っているんだよね…?確かに、そんなにたくさん走った訳はないのに、心はもうボロボロだぁ。」 彼女の心の中の冒険心は、まだ一片すら死んではいなかったが、肉体は悲鳴を上げ始めた。「持っていくお菓子があったら、休憩ができるのに…」リルフェルはそんなことを考えながら、背中を曲げて道の地面に座り込んだ。今、彼女の残存距離は99万キロ。果たして彼女は、この道を最後まで生き延びることができるのか…。 「でも、どうにかしてみせるもんっ!」リルフェルは小さな声で自分を鼓舞し、再び立ち上がる決意を固める。少女の冒険は、まだ幕を明けたばかりだった。