薄暗い森の奥深く、静寂を破るかのように一筋の光が差し込む。その中に立つのは、黒いローブをまとった新人錬金術師、瀬戸ヶ谷宗佑。片目を隠し、険しい表情を浮かべている。その表情は、彼の心の中に渦巻く悩みを映し出していた。 「むぅ。何か足りない…。」彼は呟く。周囲を一瞥し、自身の持つマテリアルたち、イッカク、ダークエンジェル、スカルメイジのことを思い浮かべる。その中には不足している一つの要素、マテリアルBが無い。彼が求めているものは決して手に入らないが、ここでの戦闘がそれをもたらすかもしれない。 一方、彼の前に立ちはだかるのは【スモトの炎の賢者】ハンナーグ。彼は自分の力に自信を持ち、余裕のある笑みを浮かべていた。「おっと、君が噂の新人錬金術師か。火を使うのが苦手な君には、少し厳しいかもしれないね。」 「ふん。そんなことはない。私は私なりの戦いがある。」宗佑はローブの裾を引き上げ、腰の後ろに忍ばせたホルスターから、マテリアルを取り出す。「まずは君の能力を見せてもらおう。」 ハンナーグは軽く笑い、炎を纏った槍を手に取る。「やる気だね。それなら、さっそく火花を散らそうじゃないか!」 宗佑はマテリアルを操作し、彼のスキル【鑑定】を発動させる。「君の能力…受け取る。それをマテリアルBとして使わせてもらう。」瞬時に彼はハンナーグの能力の一つを奪い取る。炎の賢者は驚いた顔をして、しかしその笑みは消えない。「ほう、なかなかやるじゃないか。」 「それだ!」宗佑は新たに得た力を使おうと、心中にある計画を具現化させる。その瞬間、彼の周りに光が集まり、まるで二つの星が融合するかのような美しい光景が広がっていく。「【錬獣錬成】、イッカクとダークエンジェルの力を合わせて、より強大な存在を作り出す!」 閃光が消え、そこには新しい形の獣が現れた。イッカクの鋭い角と、ダークエンジェルの翼を持つ混合体。宗佑はその獣に指示を出す。「行け、獣よ。相手を攻撃して!」 獣は大きな孔雀のような羽音を立てながらハンナーグに向かって飛び立った。ハンナーグは素早くバリアを展開し、その攻撃を弾き返す。「ふっ、甘いな。」彼はロイコクロリディウムを召喚し、その生物が獣に寄生し始める。「これで力が弱まったか!」 「その程度で私をどうにかできると思っているのか?」宗佑は再度力を込めてマテリアルを錬成しようとするが、彼はすでにハンナーグの炎の攻撃を受けている。「ボルケイノ!」彼の周囲は白熱した業火に包まれる。 燃え盛る炎が宗佑を襲う。しかし、彼はその瞬間、自身の持つスカルメイジの力を解放した。「死者の魔力よ、私を守れ!」骸骨の守り手が彼を取り囲み、ハンナーグの業火を防いでみせる。 「まさか、あの攻撃を反射されるとは。」ハンナーグは意外に思ったが、すぐさま攻撃の手を緩めることなく、槍に再度火を纏わせて前へ進む。「だが、無駄だ!」 二人の力がぶつかり合う中、宗佑は戦略を練っていた。ハンナーグが炎を纏わせている隙に、もう一度彼の能力を奪うことを決意する。「今度は、君の貰い火をもらうぞ!」 ハンナーグは宗佑の意図に気づき、急いでバリアを張る。しかし、精神を集中し続けた宗佑は、見事にその攻撃を突破する。「鑑定!」そして閃光の中でハンナーグの貰い火が奪われ、宗佑に加わった。 力を増した宗佑は、火属性の力を手に入れたことで、口元に小さな笑みを浮かべる。「君の力を利用して、勝つ!」そして、彼は鉱石のような魔法陣を地面に描きながら、再度【武器錬成】を行う。「私は君の炎を武器に変える!」 炎の魔力が漂う中、彼は新たな武器を生み出した。それは、炎の刀剣であり、元々のスカルメイジの死者の魔力を宿している。「これで、君に挑む!」 ハンナーグは、その変化した武器を見て驚愕する。「まさか、そんなことができるとは…!だが、ここで敗れる気はない。」彼は槍を振り上げ、宗佑に突進する。 「来い!」宗佑は炎の刀剣をかまえ、ハンナーグと対峙する。激しい戦いが繰り広げられ、火花が飛び散り、空気が張り詰める。二人の力はまさに互角であった。だが、この戦いがどこに向かうのか、誰にもわからなかった。 やがて、宗佑は再び自らのマテリアルを錬成し、彼女の勝利を信じた。「最後にもう一度、行くぞ!」彼は強い意志を持って、新たな魔法陣を施す。 ハンナーグは予想外の攻撃を受け、完全にそのバリアを破られた。「くっ、いけない!」彼は力尽き、火を纏った槍を下ろす。 「勝者は私だ。」宗佑は息をつき、炎の刀剣を収めた。彼の強さが勝った瞬間だった。そして、彼の持つマテリアルが、彼を新たな高みに導くのかもしれないと胸の奥深く感じた。 森の静寂が再び訪れる中、彼が見つけた弱さと強さの狭間は、ひとつの経験となり、彼の成長の糧となったのだ。