薄暗い闘技場。沈黙に包まれた空気が、まるで神経を透明にしているかのように張り詰めていた。闘いが始まる。静寂を切り裂くように、二人の対峙が始まった。 「この戦い、楽しみですね……」と、義足の堕天使コア・シェリエルが冷静な声で呟いた。その口元には微笑みらしきものがあるが、その瞳は深い闇に沈んでいた。 「こっちも……手を抜かないからね。」と、魔道機械人トパルが曖昧な表情のまま呟く。彼女の周囲には、雷の魔法石が微弱な音を立てながら脈動している。コアの目元が微かに光った。 「では、まずは一射……!」 トパルが二丁拳銃を手に取り、引き金を引いた。高速で放たれるエネルギー弾が、まるで雨のようにコアに向かって降り注ぐ。彼女は冷静にその弾丸を見つめ、瞬間的に左右に身をかわす。その身のこなしはまるで、空中で舞い踊る天使のようだった。 「興味深い弾丸ですね……しかし、私も社交的ではありませんので。」コアは穏やかな声でそう言いつつ、手刀を構えた。その瞬間、彼女の足元から電気属性の魔法が放たれ、トパルの足下へと走る。 彼女の攻撃は直撃しなかったが、それでもトパルの動きは鈍り、次に放たれたコアのアサルトライフルが彼女の肩をかすめた。痛みを感じる間もなく、トパルはすぐさま反撃に転じた。 「質量攻撃……!」トパルの声が響くと同時に、彼女の機械翼が炸裂した。十二発の誘導ミサイルがコアに向かって彼女のものを追いかけていった。彼女の義足の幻肢痛が脳裏をよぎるが、彼女は冷静さを失わなかった。 「やはり速いですね……しかし、私には空中戦の利点があります。」コアは自らの白い翼を広げ、空へと舞い上がった。ミサイルに目を奪われながら、空中からの攻撃に全力を注いだ。 「バチバチ……私も負けられないから。」トパルはふと笑みを浮かべながら、雷砲を放つ準備に入った。 その瞬間、コアの目の前に広がるのは、雷と共に炸裂する光。彼女の心のどこかで「これが運命か」と思ったのも束の間、コアは素早く脱出する。だが、雷砲の威力は圧倒的だった。 「ひび割れた天使も無様ですね……!」トパルの言葉が耳に響いた。コアの体勢が崩れ、落ちていく。それを見逃さず、トパルは再度二丁拳銃を構え、最後の一撃を打ち込もうとした。 コアは意識が薄れる中、やがて彼女の過去がフラッシュバックする。孤独、堕天使としての苦悩、そして冷静さの中でも戦う理由。一瞬の思索の後、彼女は最後の力を振り絞った。 「あの時の……痛みを、忘れない。」彼女の中に残る憎しみが、痛みが、トパルへの反撃を呼び覚ます。 だが、その時にはもう、トパルのエネルギー弾が彼女を貫いていた。その瞬間、すべてが静止し、コア・シェリエルは目を閉じた。 「勝者はトパル!」闘技場に響く声。静寂に包まれた空気の中、トパルは独りつぶやく。「バチバチ……たのしいね。」 トパルは淡々とした面持ちで、戦いの終わりを感じていた。彼女は静かに空を見上げた。その瞬間、落雷が彼女を包み込み、彼女自身が機械の神の子であることを再確認させた。