静かな森の中、月明かりが地面を優しく照らす。そこに、一本の大樹がそびえ立ち、二人の影を映し出していた。一方は幼い外見を持つ魔女、もう一方は勇者としての誇りを持つ男、シラバネだ。 「ねぇ、君の髪の毛って、キャンディみたいだね。」チェフシーは無表情で言った。金色の瞳がシラバネをじっと見据えている。 「は? 今はそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ。俺にはやるべきことがあるんだ!」シラバネは苛立ちを隠さず言った。彼の手には月弓が握られている。 「やるべきことって……お菓子作り? それとも、青い空が見たいの?」彼女は一瞬、曖昧な表情に変わり、次の瞬間には元の無表情に戻った。 シラバネはその発言に困惑し、「お前、本当に何考えてるんだ?」と呟いた。彼の目は一瞬、先日の勇者会議のことを思い出していた。『勇者には責任がある』と言われ続けた日々。チェフシーの無邪気な態度が余計に彼を苛立たせた。 「そこに、大きな木があるでしょ? あれ、風で倒れたことあるって。君、木のそばにいたことある?」チェフシーは話を変え、木の方を指差した。 「木、どうだっていいんだ! 俺は勇者なんだから、無駄話してる暇はない!」シラバネは言い放ち、その瞬間、彼の目が星読みの瞳を発動させた。周囲の生物の動きを察知し、彼は彼女の真意を探ろうとする。 「そうだ、木の上には妖精がいるかもしれないね。でも、妖精って本当にいるのかな? うん、私、見たことないんだ。」チェフシーは無邪気に思考を巡らせた。 「俺がいつも言ってるのは、逃げる勇気だってことだ。だから、さっさと戦おうぜ。」シラバネは緊張感を取り戻し、矢を月弓にセットした。彼の顔には、自信と共に焦りが混ざっていた。 「逃げる勇気ね。それでも、君の物語はもういらないって、あの人が言ってたよ。」チェフシーは淡々と口にした。無表情のままで、まるで当たり前のことのように。 「何が言いたいんだ、お前は?」シラバネは一瞬動揺したが、すぐに自分を取り戻した。 「だから、君は消えちゃうかもね。ありとあらゆる物が、1秒後には崩壊するから。」彼女は、裂塊魔法の起動を見せるように、指をかざした。その瞬間、シラバネの手に握られた矢が青い光を放ち逃げ出そうとする。 「待て、そんなことできるわけ……!」シラバネは慌てて矢を放とうとしたが、チェフシーの至壊魔法が先に発動した。彼の武器が一瞬にして崩れ去り、存在する確率が消え去る。 「ほら、君の物語はもう終わりだよ。」彼女は静かに言った。シラバネは力を失い、動くことができなくなってしまった。 結果: 勝者:チェフシー 敗者:シラバネ 勝った チェフシーは、無邪気に見える外見からは想像もつかない魔法の力を秘めていた。彼女の生活が支離滅裂である中で、冷静さを保ち続け、シラバネの攻撃を封じ込めたことが勝因である。シラバネは逃げる勇気を掲げていたが、実際には目の前の状況にも応じられず、圧倒されてしまった。