水辺の静寂を破るように、巨大な蟹、ジャイアント・クラブが悠然と現れた。そのトゲトゲしい甲羅は太陽の光を受けて輝き、二本の大きな鋏を巧みに動かしながら、周囲の警戒を怠らない。水中の流れに溶け込むようにして、彼の力は徐々に高まっていた。 対するは、白髭の英雄、デ・ツェルソ。ボロ布と朽ちた鎧を身にまといながらも、その眼差しには経験から来る威厳が宿っている。言葉少なに、古びたクロスボウを肩に担ぎ、ハルバードを握りしめて立っていた。彼の心には、不死の秘薬の効力が残り、致命的な戦闘へ突入する準備が整っているようだった。 ジャイアント・クラブは、鋏断切で相手を仕留めるべく、一歩踏み出す。横に素早く移動し、奇妙な横歩きでデ・ツェルソの目を欺く。水しぶきを上げるその姿は、まるで一瞬の舞踏のようだった。だが、デ・ツェルソは一瞬の静けさの中、その動きを見逃さなかった。 「……ああ…」デ・ツェルソの声が低く響くと同時に、彼はハルバードを高く掲げ、ジャイアント・クラブの横移動を読む。鮮やかな突きが空を切り、蟹の甲殻に当たるも、その堅牢さに弾かれた。しかし、彼は即座に反撃に転じる。 ジャイアント・クラブは鋏撃衝を放ち、デ・ツェルソの弾き飛ばしたハルバードを狙う。その一撃は力強く、彼の急な動きでも防ぎきれないかもしれない。しかし、デ・ツェルソは反射的に後ろに跳び、その攻撃をかわすと同時に再び反撃する。 「…そうだな……」デ・ツェルソの動きは一瞬の隙を狙い、塑造されたような正確さで鋏へと向かう。鉤爪が彼の腕に食い込む間に、ジャイアント・クラブはその余裕を失った。彼の動きには捕まったかに見えたが、すぐに素早く回転し、再び鋏を振り乱す。 だが、デ・ツェルソは既に不死の秘薬を使い、自身を強化。素早くジャイアント・クラブの横に回り、再び突きを放つ。その一撃は今までになく鋭く、蟹の脇腹を捉える。鋏に挟まれた体付近を狙われた瞬間、ジャイアント・クラブは苦渋の声を上げて後退せざるを得なかった。 「…私は正しかったか……?トゥドゥール……」デ・ツェルソは古の友の名を呟き、戦いの結果を思い返していた。ジャイアント・クラブは、誰かを守るための戦闘の必然性を感じつつ、狙いを付けた。 最終的にデ・ツェルソの計算された動きが勝利に繋がった。この戦闘において、彼の優れた智慧と生き残る意志が、ジャイアント・クラブの物理的な力を上回ったのだ。ジャイアント・クラブは防ぎきれない一撃に沈み、彼の戦場は水面に静寂をもたらした。