【前日譚】 かつて、この大陸には強大な魔王が君臨し、村々を恐怖に陥れていた。だが、伝説の勇者とともにその魔王を打ち倒したのが、耄碌しきった国王陛下、通称「ボケた国王」だった。かつての全盛期には、数々の戦において無敗の強者として名を馳せた国王も、今では白髪白髭のぼけ老人。年を重ねるほど、彼の頭の中には頼りない曇りが増えてしまった。 「飯はまだかのう…」国王は怪訝そうな顔で呟き、新たに召喚された冒険者相手を見やった。彼女の名はメーシェ、自由奔放な旅猫である。 【異世界召喚】 遠い異世界、メーシェは平穏無事に日々を送っていた。ある晩、彼女が木の上で昼寝をしていたところ、突然目の前に光が現れた。すると、彼女はその光に吸い込まれるように宙に浮き、気が付くと見知らぬ場所に立っていた。 「にゃ!?ここはどこにゃ?」大きな城が目の前に現れ、威厳を放つその姿に、メーシェは思わず目を輝かせた。「探検するにゃ!」 【招待状】 城の中に入ると、家臣たちが慌ただしく動き回っていた。中でも一際目を引いたのが、一人の若い家臣だった。 「国王陛下、冒険者が招かれました!」若い家臣は驚いた様子で国王に告げたが、国王はすでに居眠りを始めていた。 「飯はまだかね…」彼のつぶやきに、家臣は頭を抱えた。 「おい、国王陛下!その子は勇者の代わりに召喚された者です!」家臣は根気強く説明しようとするが、国王は耳を傾ける気すらない。 【いざ城へ】 「メーシェ、こちらへ来てください」と家臣は焦りながら呼びかけた。メーシェは無邪気に「にゃん!何か面白いことが待っているのかにゃ?」と走り寄った。 「うーむ、可愛い小猫だ」国王は目をこらし、ようやくメーシェの姿を見た。「飯は…あ、いや、君は誰かね?」その様子に、家臣は驚愕する。 【王です】 「私はメーシェ、勇者として召喚されました!」彼女は胸を張って名乗り、「国王陛下を助けるために来たにゃ!」と言った。 「奴は勇者…?」国王は再び眠りかけるが、家臣が懸命に揺り起こす。「ほら、陛下、彼女は魔王討伐のために」 「魔王?それは美味しいのかね?」国王は頓珍漢な返事を返す。 「陛下…ダメです、そうじゃありません!」家臣は焦り、「メーシェさん、陛下が魔王討伐依頼を出すことをお願いしています」とやっと理解を促す。 【こいつ本当に王なの?】 メーシェは頭を傾げ、「本当に国王なのにゃ?」と少し疑問を持つ。彼女は鉄爪を使い、国王の頭を軽く引っ掻いてみる。 「うぎゃ!うむ!すまんが、何も食べていないのでちょっと…」国王は眠りから覚めた。「若い冒険者よ、君は…可愛らしいね」 「それを言うなら、まずはスキルを見せてにゃ!」メーシェは鉄爪を構え、挑戦的に笑った。だが国王はスキルを展開する余裕もなく、ただぼんやりとした顔をしていた。 【冒険に出発】 苦労しながらも、家臣がやっと国王から魔王討伐の依頼を伝えた。「メーシェ、君の力があれば魔王にも立ち向かえるだろう。頼んだぞ!」 「にゃるほど、やる気が出るにゃ!」メーシェは元気よく手を挙げた。「では早速、冒険に出発するにゃ!」 国王は再び眠りに入ろうとし、家臣があたふたと面倒を見る。「待て待て、先に君の参加を認める儀式がある!」 「にゃんだ、それにゃ?」メーシェは興味津々。「儀式?凄く面白そうにゃ!」 「じゃあ、えっと…ここに座ればいいかな?」国王は椅子を指しておいて、居眠りを再開してしまった。 「何この王?本当に国を治めてるのにゃ?」メーシェは首を傾げ、周りを見渡した。 「すみません、国王陛下はお歳ですから…」家臣が無理に微笑む。 「よし、勇者の決意を示すにゃ!さあ、行くにゃ!」メーシェはその場を離れ、冒険の旅に向けて走り出した。 王の居眠りをほっときながら、彼女は新たな仲間を求め、世界を旅することになるのだった。果たして彼女の運命はどうなるのか、そろそろ始まりを告げる序章が進むのだった。