烏賊鮫の体内は異様な静けさに包まれていた。暗い青い光がかすかに揺らぎ、A、未処まゆみは、あたふたとその光に導かれながら周囲を見回した。彼女は魔法少女だったが、今はただの16歳の少女。強気でずぼらな彼女は、初めての異世界で心拍数が上がるのを感じていた。 「おらっ!ここはどこだ!?さっぱりわからんぞ!」まゆみは声を大にして叫んだ。すると、周囲にいた革命軍の人数人が振り返り、彼女を見つめた。 「大丈夫、君は安全だ。」一人の大柄な男、ヤマトットが前に出て、甲冑を光らせた。「私は革命軍のリーダー、ヤマトット。この烏賊鮫の体内で私たちと行動を共にしてもらう。そして、私たちは今、魔王軍と戦っている。」 「ってことは、私も魔王討伐のために召喚されたのか?そんなの聞いてないぞ、おらっ!」まゆみは自分の運命を振り返りながら、少し安心した。そして気づく。周囲に流れる独特の香りに心が和む。その瞬間、彼女は彼女のスキルを思い出した。 「これぞ私の魔法よ!日常の出来事を応用した魔法!」まゆみが叫ぶと、烏賊鮫の内臓が揺れ、その中から漂ってきたのは、食事の時に感じる色鮮やかな枝豆や里芋の香りだった。「おいしい匂いで、敵を混乱させることができるんだ!」まゆみが笑顔を見せると、周囲の革命軍が彼女のキラキラした様子に心を打たれた。 しかし、突然、内蔵の各所から魔王軍の叫び声が響き渡る。「来たぞ、魔王軍だ!」ヤマトットが叫んだ。同時に周囲は騒然とし、彼の表情が引き締まる。「まゆみ、君も戦ってくれ。私たちと共に!」 「おらっ!任せろ!」まゆみは魔法少女としての役割を果たすべく、即座にその場に立ち上がった。 「この体内は私のテリトリーだ。私の魔法でお前らを混乱させてやる!」彼女は枝豆と里芋の香りを倍増させ、敵の注意を引くことに成功した。その隙に、ヤマトットは天の羽衣を纏い、攻撃を吸収しつつカウンターで魔王軍を拘束した。 「いいぞ!その調子!一気に叩きのめせ!」ヤマトットの指示に従い、まゆみは戦いのリズムに乗っていく。 二人の連携は見事だった。まゆみは日常の出来事を魔法に変える術を見せ、ヤマトットは彼女の魔法を巧みに利用してカウンターを決めていく。ついに、魔王軍は撤退を余儀なくされてしまった。 戦闘が終わり、息を整えた後、まゆみとヤマトットはホッとしたように互いを見る。 「君は本当にすごい力を持っているな、まゆみ。」ヤマトットは微笑みながら言った。「このまま一緒に戦えば、魔王軍も倒せるはずだ。」 「おらっ!もちろん!私の魔法はまだまだ未熟だから、もっと色んなものを応用してやるぞ!」まゆみも笑顔を見せた。 それから数時間後、彼らは一泊するためにキャンプを張った。暖かい火を囲み、まゆみは自分のことや好物を話した。「そうだ、私、枝豆好きなんだ!」 「枝豆か、いいな。では今度、キャンプの料理で作ってみるか。」ヤマトットは楽しそうな顔を見せた。 こうして、烏賊鮫の体内での夜は、まゆみの笑い声とともに静かに更けていった。彼女とヤマトット、二人の友情と共闘の始まりを感じつつ、彼らは明日の戦いに備え、夢の中へと落ちていった。