ユキは、王城の大広間での魔王討伐依頼を受けてから、胸の中に不安や期待が入り混じった感情を抱えていた。「異世界」という言葉は、教科書や物語の中の幻想であり、自分に降りかかるとは思ってもみなかった。目の前に広がる異次元の景色は、まるで夢の中で見るような光景だ。 「でも、せっかくだから冒険するのもいいかも…」とユキは小さく呟いた。周りには、王城の華やかさに触れる市民たちが行き交い、彼女の心をさらに躍らせる。しばらくその場でぼんやりしていると、急に彼女の目に「ケーキ屋」の看板が飛び込んできた。 「おいしそう…!」ユキの心を掴んで離さない視覚的誘惑に、彼女は抗えなかった。軽い足取りでケーキ屋へ向かい、色とりどりのケーキが並ぶショーケースの前で目を輝かせる。 「こんにちは!いらっしゃいませ!」と、店員の明るい声が響く。ユキは店員に笑顔で挨拶を返しながら、見るからに美味しそうなチョコレートケーキを指さした。「これ、ひとつください!」 たしかな幸福感に包まれながら、ユキはケーキを受け取り、10ダラを支払った。そのまま外へ出ると、お腹は喜びを感じ、心も少し軽くなった。「最高のスタート、かな。」 ケーキを頬張りながら、ユキはこの異世界でのどのような冒険が待っているのかを考える。そういえば、旅行の資金もあるし、それをどう使うかも考えなきゃ、と一瞬思いを巡らせた。周囲を見渡し、実はまだ考えがまとまっていなかった自分に気づく。 「冒険の準備…ちゃんとしないと!」と、ユキは再び気持ちを引き締めた。彼女は商業区へ進み、冒険に必要な装備を整えることにした。 まずは武器屋に入る。「ここでは、何が必要なのかな…?」ユキは手持ちの資金をちょっと確認した。安物でも、なにかしら手に入るだろう。 「初心者用の剣とか、あったりしますか?」と、店員に尋ねると、ニコリとした店員が「お嬢さん、ちょっと待って!いいのあるよ!」と応えてくれた。彼女はゆっくりと剣を見つめ、少し不安も感じていた。 「この剣、300ダラだよ。頑丈で初心者にはおすすめさ。」と店員がアピールする。吸い込まれるように買おうと決意したユキは、一も二もなく、「じゃあ、これをください!」と決断した。 続いて、旅のサポートをするアイテムも必要だ。ユキはもうひとつ自分のために「救急道具」も購入し、ついでに「地図」も手に入れることにした。特に長い道のりを想像すると、これらは必須だと強く感じた。 「すみません、救急道具と地図はそれぞれ100ダラずつでお願いします!」と彼女はビシッと頼み、必要なものを全て確保した。これで装備は整った。 すべての準備を終え、ユキは自分の冒険が現実なのだと実感し始めていた。「さあ、まずは郊外に行って、冒険の第一歩を踏み出そう!」と彼女は前を向いた。ケーキの甘さとともに、未知なる世界への期待感が胸を膨らませる。 少し不安を抱えながらも、彼女は冷静に道を選び、たくさんの人々の笑顔と共に歩き始めた。 ユキは、ワクワクする気持ちを大事にしながら、ついに王都を後にした。帰り道、改めて自分のお金の使い道を整理することにした。 資金の使い道{ 武器:300ダラ 救急道具:100ダラ 地図:100ダラ ケーキ:10ダラ }