第1章: 時の狭間 薄暗い異空間、時の狭間に意識を集中させると、目の前にBが現れた。彼女の物憂げな黒髪が風もないはずのこの空間でゆらりと揺れ、青い目が私に向けられる。 「あなたが来てくれた… 本当に良かった」とBは微笑んだが、その表情にはどこか影があった。「お願い、魔王を止めてほしいの」 「おらっ！そんなこと言われても、魔王は超恐ろしいんだから」と思わず強気で返した。だけど、いざ目の前にいる彼女の真剣な目を見ると、私の心は揺れ動いた。Bは、私の助けをずっと待っていたのだ。 「彼は、私の兄… 先代勇者レンなの」とBが口にした瞬間、その言葉が心に重くのしかかる。彼女の吐露すべてが異なる現実の扉を開いてしまったようで、空気が張りつめた。 第2章: 先代勇者の過去 レンは、かつて魔王を倒した英雄だった。それは私も知っている昔話。だが、その後の運命は儚かった。自己防衛のためにBを時の狭間に避難させ、彼は孤独を背負うこととなったのだ。 「魔王は、狡猾な策を講じた。レンが裏切り者だと、人々に錯覚させたの」とBは続ける。涙が彼女の頬を流れる。 「彼は、愛する人々のために戦った。しかし、誰も彼の苦しみに気付かなかった。誤解され、迫害されて、彼は最後には本物の魔王となってしまったの」とBは悲しみに震えながら語り継ぐ。レンの痛みが、この空間に溢れ返るようだった。 私も心の底から理解した。正義と悪の境界線は、必ずしも明確ではないのだと。 第3章: 新たな魔王 魔王として君臨するレンは、かつての痛みを抱えたまま人々からの憎しみを浴び続けた。彼が施した魔法は、真実を歪め、彼自身を孤立させるものだった。 「私が魔王を止めることで、兄に真実を届けたい」とBは強い意志を見せるが、その表情は不安に包まれていた。 「彼は今、全てを失った。だけど、まだ撤回の道はあるはず……だから、あなたが必要なの」とBの言葉に響く決意の底には、彼女の愛と希望が詰まっていた。 「おらっ！絶対に魔王を倒して、真実を伝えてやる！」と、私自身の意志も強くなる。不安はあれど、今は進むしかない。 第4章: Aの決意 「私、未処まゆみ！てきとう魔法少女が、魔王を止めて見せるから！」 胸に力がみなぎる。どんな困難が待ち受けていても、私は自分の道を行く。Bの祈りが、私に力を与えてくれた。周りの小さなキラキラした日常の思い出が、私の魔法に変わる。 魔法少女としての経験が活き、心の中の希望が一つの光となって、私を魔王の城へと駆り立てる。「おらっ、行くぜ！」と一声上げる。 Bは時の狭間に残り、私の無事を祈る。彼女が私に託した使命。少しの恐れと大きな決意を胸に、私は魔王に立ち向かう準備を整えた。道は険しいが、私は前へ進む。 新たな戦いが始まる。そのために選ばれたのは、ただ一人の魔法少女だ。