暗雲が立ち込め、陰鬱な空気が漂う王都の上空。B、元勇者としての名残を持ちながら魔王としての運命を背負った少年が、無数の魔法陣に囲まれ立っていた。彼の目は、圧倒的な力に満ち、世界を滅ぼす覚悟を秘めている。彼のすぐそば、か細い息で眠り続ける妹ランの姿があった。 「ごめんよ、ラン。私の選択で君をこんな目に合わせてしまった…」Bは優しく妹の髪を撫でながら呟いた。彼の心の中には、妹を再び幸せに生きさせたいという強い願いが渦巻いている。それでも、彼が選んだ道は破壊と再誕だった。 その瞬間、煌めく砂時計が天から降り立った。A、魔法少女としての強気な一面を持った少女が再びこの世界に召喚されたのだ。空気が変わる。彼女の目の前には、かつての知り合いであるBが立っている。無惨な未来を背負い、選ばれし悪として立ちはだかるその姿は、Aの心に燃え上がる感情を呼び起こした。 「おらっ、久しぶりだね！その姿、まさに魔王って感じだね！」Aは自信に満ちた態度で名乗る。「でも、君の目的は許せないよ。私、てきとう魔法少女の未処まゆみとして、ここに立ってるから！」 Aの発言に対し、Bは一瞬、驚愕と懐かしさの交じった表情を浮かべる。「まゆみ…お前がここにいると言うことは、俺を止めに来たのか？」 「その通りだよ、魔王レン！地顔の良さと日常の小さなキラキラを集めて、あんたの破壊の魔法を打ち消してみせる！」Aの目は覚悟に満ち、彼女の手のひらに小さな光が灯る。その光は、彼女が日常の中で集めてきた小さな幸せを具現化したものだ。春の日差しの暖かさや、友達との楽しいお喋りの記憶、無邪気に笑う子供たちの笑い声が、Aの心を満たしている。 周りにあふれる小さなキラキラを指先で感じ取り、Aは鼓動を高めた。「これが私の魔法よ！日常の出来事を応用した特別な力！」その言葉と共に、Aは手のひらを広げ、軽やかに舞い上がる。 Bは淡々とした表情で、「お前の持つ力が、果たして俺を阻止できるのか？」と挑発する。 Aは、天候さえも変えようとする彼女の魔法に直面する。乱れた黒髪を風になびかせながら、彼女はその場で旋回し、周りに小さな光の粒を撒き散らす。「これぞ私の魔法よ！地顔の良さとか、トラウマとか、オタクっぽさが合わさった特別な力があるのよ！」 “それが、私の日常の強みだ！” 暗雲の中でひときわ輝くAの姿が、少しずつBに向かって近づいて行く。彼女の気合は溢れ出し、魔法の力と共に新たな戦いの始まりを告げる。 そして、王都の運命を決するその瞬間、BとAの間には無言の理解が交わされ、両者の未来がかかる対峙が始まろうとしていた。