【序章】 月が満ちる晩、異なる世界からの呼び声が一人の少女を捉えた。その名はゆづ。彼女は剣を扱う力も、魔法を使う魔力も持たないが、巧みな射形と完璧な所作で知られる月乙女である。彼女は異世界に呼び寄せられたことに、少なからず喜びを感じていた。しかし、そんな彼女を待ち受けているのは、ボケた国王が治める奇妙な王国だった。 【異世界召喚】 「わたしは、いったいどこにいるのでしょうか……?」 ゆづは周囲を見回しながら、自身が召喚された場所を探った。情景は彼女の知る大和とは全く異なり、色とりどりの花が咲き乱れる中、誰もが不思議な笑みを浮かべていた。すると、目の前に一匹の小さなドラゴンが現れた。 「おや、君は新しい勇者かい?」とドラゴンが尋ねる。 「勇者ではありませぬ。ただ、月の乙女、ゆづと申します」と応じると、ドラゴンは驚いた様子で首をかしげた。 【招待状】 「国王様が君を待っている。すぐにお城に行こう!」とドラゴンは言うと、そのまま飛び立った。ゆづは少し戸惑いながらも、後を追った。 お城に着くと、大きな門が開き、そこには一杯の家臣たちがいた。一人の家臣が寄ってきて言った。「こちらが国王陛下が君に特別に宛てた招待状です。」 ゆづはその招待状を受け取ると、ボケた国王陛下が「飯はまだかのう…」と呟く声が耳に入った。 【いざ城へ】 ゆづは、国王の元へと進む。王座に座っていたのは、白髪白髭の老人。彼がかつての勇者とは信じがたいほどの風貌である。王は「飯はまだかのう…?」と再び繰り返す。 「お、お世話になります。わたしはゆづと申します。本日、召喚されました。」と緊張しつつも答える。 王は一瞬の沈黙の後、「それは良い。勇者か?それとも飯か?両方でよいな!」と答えた。 【王です】 「この国には魔王がいるのじゃ。勇者としてその魔王を討伐してくれるかの?」王が言った瞬間、周囲の家臣たちはあたふたと動き出した。 「陛下、そろそろ本題を…!」と一人の家臣がつぶやく。 「そ、そうじゃ!魔王を倒して、おいしい飯を作ってもらうのじゃ!」と王は目を輝かせて言った。 【こいつ本当に王なの?】 ゆづは王の言葉に困惑した。「あの…、それではわたしは魔王討伐に向かうのですね?」 「もちろん!魔王は確かにいるのじゃ!」と、王は一瞬しっかりした様子を見せたが、すぐに「飯がまだかのう…?」に戻ってしまった。 「王国のために戦うことは、決して飯のためじゃありません!」とゆづは心の中で叫んだ。家臣たちが困った顔をしながらも、必死にフォローを試みる。 「陛下、勇者の力を借りてこの国を救いましょう!」 すると、国王は思い出したように言った。「そうじゃ!確か、何か譲渡できるスキルがあったはずじゃ!えーっと…、蜜柑を、そうだ、蜜柑を与えるぞ!」 ゆづは何を渡されるのか不安な顔で蜜柑を受け取った。 【あなたの冒険の始まり】 「魔王を討伐するために、わたしはこのまま進むべきです」と思いを新たにしたゆづ。彼女は優雅に弓を構え、まるで月の光のように目的のために進んでいくと、家臣たちも無言で頷いた。 「何とかしてあの王を導かないと…」と一人の家臣は呟き、後に続く。 ゆづは、一歩一歩進むごとに「月の乙女」としての責任を感じ、異世界で新たな冒険が始まることを夢見た。果たして、この奇妙な王国でどのような運命が待ち受けているのだろうか。