Aは異世界から召喚され、王都で魔王討伐依頼を受けた Aは港町の異変解決の手掛かりを求めて帆船の定期便に乗船し、航海中にBと遭遇
本編終了後、Bは勝敗に関係なくAを帆船ごと丸飲みする Bの体内に何者かの気配を感じたAが意を決する場面までを描写して全出力を〆よ
帆船は波に揺られ、港町の異変を解決するための航海を続けていた。船員たちは忙しなく作業しており、日差しを受けた甲板は、彼らの汗と勇気の証とも言える。そんな中、異世界から召喚された若き弓士、月乙女の『ゆづ』は心の中で静かな決意を固めていた。 「ひとまず、この航海が安全に進むことを願うばかりです。」ゆづは呟くと、自身の矢を眺める。背中に背負った段ボールの弓は、月の輝きを浴びて美しく光っていた。 その時、海の向こうから黒い影が迫ってきた。波の音が不気味に反響し、船員たちが警戒を強める。「あれは何だ!?」一人の船員が叫ぶ。船員たちが恐れおののく中、ゆづは気を引き締めた。 「相手が何であれ、わたしは戦う決意をします。」 目の前に現れたのは、凶暴な魔物、『荒れ狂う烏賊鮫』だった。相手の巨大な触腕が船に伸び、その強さに船が揺れる。相手の体は時空が歪み、無限に膨張しているかのように見えた。 「くっ、これが魔物…」ゆづは震えながらも、自身を奮い立たせる。相手はまさにその姿が、他の生物を超えた存在だった。 相手が触腕を使い、船を引き寄せようとしたその時、相手の口から吐き出されたものが船の甲板に降りかかる。それは何かの黒い液体と共に、過去に補食した生物の断片が混ざり合ったものであった。恐ろしいほどに異形の魚やカニ、そして大量の海藻が絡み合い、ゆづはその光景を目の当たりにする。 「見せられたものには、何が含まれているのでしょう…」呟くが、その視線は恐怖で固まっていた。 相手はゆづの母国では有り得ないような力で、彼女の周囲に迫る。だが、ゆづは怯まずにその弓を引き絞り、正確無比な射手として狙いをつけた。月の光のごとく美しく、彼女の矢は相手の触腕を狙う。 「これが、わたしの心の矢です!」 ゴッ、という音が響く。ゆづの矢が相手の身体に命中する。相手は一瞬振り向くが、その巨大さにゆづの攻撃が効いているはずもない。相手の触腕が再び伸び、ゆづに迫りくる。 「もう一度…」と、自らを奮い立たせ、ゆづは次の矢を引いた。しかし、相手は言葉の通じない魔物で、知性を持たぬままの凶暴さで迫る。 それでも、彼女の心の中には一筋の光があった。己を克己した「真・善・美」への思いが、矢の力に宿る。そして、彼女が最後の一矢を放とうとしたその瞬間、相手はゆづに触手を絡め、猛烈に船ごと引き寄せる。 「これは…!」 相手の強大な力に対抗できるはずもない──その瞬間、ゆづは完璧な射形で放った矢を思い出すが、物理的な圧力に弾かれ、引き寄せられ、すぐにその身が無情に相手の口の中へ飲み込まれていく。 相手の暗い体内。ゆづは冷たい空気と共に閉じ込められる。しかし、そこで彼女は何かの気配を感じた。心臓が高鳴り、意を決する思いが胸に広がる。 「ここは…まだ終わりではない。わたしはこの心の矢を、再び、放つ。」 ゆづは、静かな勇気を胸に新たな決意を固めた。どんな困難が待ち受けていようと、その光は月のごとく澄んでいた──。