戦闘の小説 静寂が支配する異世界の広間。月の光が、中央に立つ少女──ゆづの周囲を柔らかく照らしていた。彼女は、自身の心の中に存在する「真・善・美」を形にするため、弓を引いていた。彼女の魂は、正射必中の矢として生まれ、その美しさは月のように輝いて見える。 対峙する相手は、魔王を名乗る少年。無感情の瞳を持ちながらも、彼の佇まいは周囲の空気を変えるほどの圧迫感を放っていた。しかし、彼はただ静立し、ゆづの攻撃を受け入れるかのように動かなかった。彼の存在は淡く、まるで幻影のように薄い。 「行きます、どうか受け止めてください。」 ゆづは静かに呟き、自分の矢を放った。矢は美しく弓を離れ、真っ直ぐに魔王へ向かって飛んでいく。 矢が当たる瞬間、ゆづは心の中で一瞬の葛藤を感じた。しかし、矢は魔王の胸に突き刺さった。しかし、彼は無反応だった。彼の体を貫いた矢はまるで通り抜けていくように、実体がないかの如く消えてしまう。 「あなたは、本当に人間なのですか？」 ゆづは疑問を抱きながら再び矢を引いた。目的を果たすため、彼女は何度も矢を放つも、同様に何も得ることができず、ただ無常に時間だけが過ぎていく。 突然、魔王の側近であるユダが口を開く。「彼は幻影だ。君の攻撃は彼には効かない。」 その言葉によって、ゆづは自らの限界を感じ取った。だが、心の中の決意だけは変わらない。「だからこそ、私は戦い続けます。」 対峙したまま、遂に決着がついたのは、ゆづの美しい矢が全て虚しくなった時だった。魔王はそのまま、無音のさなかに消え去った。 新章 - 本物の相手の現れ その瞬間、場は静まり返った。月影の中、幻影が解け、真実が浮かび上がった。ようやく姿を現したのは、無感情の魔王、相手自身だった。彼の周囲には不気味な空気が漂い、ゆづは言葉を失った。 「この程度なら、僕にも出来るんだよ…」 静かに、相手は表情を変えずに言い放った。すると、彼は奇妙な力を使い、ゆづの能力を完全に再現したのだ。彼の弓から放たれた矢は、ゆづが放ったものと同じように美しく、そして強烈に彼女を貫いた。 「こんな…私の力を…」 驚愕の表情を浮かべるゆづ。その瞬間、彼女は痛みを感じ、身体が千切れそうになる。何もかもが絶対的な危機に包まれていく。 しかし、相手はさらに彼女の力を倍にして返す。「これで、君は絶体絶命だ。」 矢がゆづの心を捉えて離さない感覚がした。 結末の場面 だが、そんな絶望的な状況の中、一筋の光が差し込む。それは、相手に似た謎の少女だった。彼女はゆづのすぐそばに現れ、微笑みを浮かべる。「大丈夫、わたしが救うから。」彼女はゆづを抱きしめ、瞬時に異空間へと逃れた。 「待て！」 ユダが追いかけて行こうとするが、相手が彼を制止する。「ここは何もできない。」その瞬間、ユダの視線は相手に釘付けとなり、彼は大きな力に圧倒されて立ち尽くす。 「ゆづ…あなたは、どこに？」 相手は過去を想い、ゆづの姿を追い求める目をしていた。 異空間での逃避行が始まったが、運命は再び交錯していく。