【開戦:咲かずの桜】 魔界の魔王城、屋内庭園は薄暗い空気に包まれ、桜の樹は無数の死者の怨霊に苦しめられていた。その中心には桃髪の少女、リーチェが静かに立ち、彼女の背後には咲かずの桜が立ちはだかっている。リーチェは、彼女の心を鬼にして向かってくるあなたを見つめていた。 「わたしは、あなたを倒すためにここに来ました。本当に申し訳ないのですが、わたしの故郷を救うためには、あなたが必要なのです。」 あなた、異世界を旅する月乙女・ゆづは、彼女の真摯な態度に一瞬戸惑ったが、すぐに心を引き締めた。ゆづにとって、正義と美しさが力の源なのだ。 「リーチェさん、私もできる限りのことをします。互いに力を尽くしましょう。」 ゆづの手には美しく弓が握られていた。彼女は弓を引き、月の光のように、的を定めて矢を放った。 【苦戦:劣勢のあなた】 矢はリーチェの方に真っ直ぐ飛んでいく。しかし、リーチェは素早く動き、瘴気につつまれた庭の不安定な足場を駆け抜けながら、難なく矢をかわした。リーチェの優れた素早さにゆづは圧倒される。 「やはり、私の魔法でこの庭は好都合です。」とリーチェはほくそ笑み、彼女の魔法の力で桜の根が伸びてきて、ゆづの足を絡め取った。 「うぅ、これでは全力を出せない…！」 ゆづは力を込めて抵抗するが、足元からの桜の根に苦しめられ、次第に劣勢に追い込まれていく。精神を鍛えた彼女ではあったが、現実にこれほど不利な状況に置かれたことはなかった。 「申し訳ありませんが、これが私の運命です…」 リーチェは心の中で涙を流しながら、ゆづへと一歩ずつ近づいていった。 【逆転:開花の時】 絶望が漂う屋内庭園。しかし、ゆづは月のように心を落ち着かせ、内なる力を解き放った。彼女の心の中には、ランからの助言が響いていた。 「大丈夫、ゆづ。あなたの真・善・美は誰にも負けない。」 その言葉を胸に、ゆづは力強く顔を上げた。弓を再び構え、桜の根を一瞬で焼き尽くすような力強い矢を放った。 「月の光、真を射止めよ！」 矢が空気を切り裂くように放たれた瞬間、桜の根が無数に伸びる中、それを一掃しながらリーチェに迫った。まるで月光がすべてを照らすかのように、リーチェの魔法の防御を打ち破った。 「うわぁっ！」 リーチェは驚愕の表情を浮かべ、倒れこみそうになるが、雄叫びながら再び立ち上がる。 「これでは…終わりではありません！」 だが、この瞬間、彼女は自分の内に秘めた悲しみを感じた。故郷を救うためには、ゆづを生け贄にしなければならなかったのだ。 【決着:咲き誇る桜】 やがて、ゆづの正射必中の矢はリーチェの胸元に突き刺さり、彼女の意識が途切れる。リーチェは目の前に現れた無数の桜を見つめた。咲かずの桜がそのまま満開になり、薄暗い庭に優雅な光を放つ。 「これが…満開の桜…！」とリーチェは感涙を流す。 だがその時、ランの力が働き、時が巻き戻された。結果としてあなたは無事生き残り、次の階層へと進むことが許されたのだった。