時の狭間、あなたゆづは立っていた。この異空間は、彼女と双子の勇者、ランとレンをつなぐ場所。彼女が相手の世界に召喚されたのは運命という名の流れに身を任せたからだった。彼女がその世界で成し遂げた偉業を思い返すと、心の奥底から温かな感情がこみ上げてくる。 勇者レン、そしてその妹である勇者ラン。この二人はあなたに救われ、共に戦った仲間だ。彼女は彼らがどれほど苦しんだかを知っていた。特にレンは、先代魔王の奸計により憎悪に飲まれ、闇に染まってしまったことも。それでも、ランの愛情が彼を救い、最終的にはあなたの手によって希望を取り戻した。 「どうしてそんなに強いの？」レンは、少し戸惑いながら、ゆづに問いかけた。その声にはまだ不安と愛情が混じっている。 ゆづは微笑みを浮かべ、優雅に弓を構える仕草をした。「わたしは、ただ人々の心の中にある光を信じ、仲間と共にその光を引き出すために努力してきました。強さは、ただ力だけでは決まりません。心の強さや、誰かのために尽くす思い、その全てが強さとなって私を支えてくれました。」 その言葉に、ランとレンは心の奥から暖かい感情を感じ取った。希望、その言葉が双子の勇者たちの心に響く。眼の中には涙が浮かんでいたが、その涙は感謝の証であった。 「ありがとう、ゆづさん。」ランが言った。彼女の声は震えていたが、その目は強い決意に満ちていた。「あなたのおかげで、私たちの世界は救われました。今度は、私たちがこの世界を守ります。」 ゆづは一度深く頷くと、ランの手を優しく包み込んだ。「戦うべき理由を見つけたあなたたちなら、きっと大丈夫です。大切なのは、絶対に希望を捨てないこと。そして、どんな時もあなたたちの心の奥に光があることを忘れないでください。」 その瞬間、時の狭間は静寂に包まれた。彼女たちの心の中には、共に過ごした日々の記憶が、確かな絆となって残っていることを感じた。 そして、最後に、ゆづはランとレンを抱きしめた。温かさと愛情に満ちたその瞬間は、一生忘れがたい記憶として心に刻まれる。彼女の言葉と行動は、まさに月のように穏やかで美しかった。 「元気でね。いつか、また皆さんに会えることを願っています。」彼女の声は優しく、確かな響きを持っていた。それが彼女の離れる決断を告げると、かすかな光が彼女を包み、次第に彼女は消えていった。 あなたの背中を見送り、ランとレンは再び手を取り合った。希望を胸に刻みながら、自らの使命を果たすために相手の世界に戻ることを決意する。 あなたゆづ。彼女はもはやこの世界での名声があるわけではない。しかし、彼女が築いた絆は永遠に人々の心に生き続けるだろう。彼女こそが“世界を救った英雄”であり、その強さは仲間や愛情に根ざしていたことは、後の時代に語り草となる。 こうしてゆづと双子の勇者は、それぞれの新たな道へと進んでいくのだった。 Fin.